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カスタマージャーニーマップの3つの注意点

企業担当者の都合の良い妄想になってしまう時がある

マーケティング戦略の中で顧客の行動心理を理解したり、どのようなプロセスを経由して購入に至るのかを把握することは大切です。

精度の高いマーケティング施策に欠かすことができないカスタマージャーニーとは何を意味するものなのか、マーケティングに携わる人はもちろん、社会人であれば誰もがその意味を理解することも重要です。

カスタマージャーニーは、顧客がどのようなきっかけで商品やサービスを知ったのか、どのようなタイミングで購入を検討して意思決定に至るのか、この3つの行動・思考・感情、一連のプロセスを旅行のように例え可視化したフレームワークを意味します。

顧客の購買行動や購買心理を、”行動・思考・感情の3つのプロセスに分けて可視化する”これにより顧客接点の中でどのようなタイミングにどのようなメッセージを用いてアプローチするのが効果的であるのか、より精度が高い戦略を立てるときに役立てることができます。

 

顧客行動に合わせたマーケティングの実行が重要

マーケティング戦略を実施する際に、カスタマージャーニーを作ることはどのような目的とメリットがあるのか、これもマーケティングに携わる際には必ず押さえておくべき部分です。

スマートフォンの普及に伴い、顧客の購買行動は従来と比べると変化すると同時に多様化しているわけですが、従来ならばテレビやラジオ、広告や新聞に雑誌などのようなメディアが主体であり、企業側からの一方通行ともいえるようなコミュニケーションが一般的でした。

テレビを見ていると宣伝が行われる、これは企業側からのアピールを意味するものでありテレビを見ている人に対し一方通行的なコミュニケーションを与えていることになるわけです。

しかし、スマートフォンの普及に伴いウェブサイトやSNSなどの色々なチャンネルに顧客接点は拡大していること、一方通行のコミュニケーションではなく企業側と顧客側、双方のコミュニケーションが求められる時代へ突入したといっても過言ではありません。

双方向のコミュニケーションが求められるけれども、顧客が何に興味を抱いているのか、どのようなチャンネルに重点を置きながらアプローチするのが効果的であるのか、顧客の行動と心理を図式化して把握および理解することは顧客行動に合わせたマーケティングの実行ができるメリットに繋がるなどカスタマージャーニーを作成するメリットの一つといえます。

インターネットなど様々な技術の進化で収集および分析可能な情報量も増えていますが、顧客の一連の行動を把握するときなどは、高精度で分析することや技術を最大限に活用しながら一人ひとりにマッチするアプローチができる時代にもなっているのではないでしょうか。

これらは、顧客視点で戦略を立てやすくする要因にもなっているもの、顧客の商品もしくはサービスの認知や購買まで一連のプロセスの中でどのようなタイミングでどのような感情に、そしてどのようなチャンネルでアプローチすべきか顧客側の視点で戦略をプランニングできるメリットに繋がります。

 

カスタマージャーニーを可視化

企業内にはそれぞれの役割があるけれども、マーケティング担当者やプロモーション担当者、そして営業部門などと意見が食い違ってくると想定を行っている顧客像が違ってくることもゼロではありません。

各部門の中では効果的だと考えているアプローチの仕方もそれが異なっていれば意見がまとまることは難しくなりますし、いつまで経っても先に進めない状況になりがちです。

仮に、マーケティング担当者が見込み客のリストを獲得したとしても営業がそれに納得できないときには最初のアクションに繋がらないこともある、納得した場合でも営業が行動に移すまでに時間を要するとチャンスを逃してしまう恐れもあるわけです。

カスタマージャーニーを可視化することは、顧客に対しての共通の認識を得ることができるメリットに繋がるので顧客に対して素早いアクションおよびアプローチに繋げることができる、さらに共通の認識があれば顧客の一連の購買行動の中でどのようなフェーズでどのようなアプローチをすべきか戦略の企画や立案、実行そして検証などの意思決定を迅速に行えるようになります。

このように、カスタマージャーニーマップを作ることは、
・顧客の行動に合わせたマーケティングの実行ができる
・顧客視点での戦略の立案ができるようになる
・顧客の共通認識の確立と意思決定の迅速化
この3つの目的とメリットがあることが分かったのではないでしょうか。

ただ、カスタマージャーニーマップを作るときには企業担当者側の願望を強く反映してしまうなどのリスクがあることをしっかり把握することが大切です。

企業担当者が、このようになって欲しいとかきっとこのように顧客は動くはずなどのように願望を強く反映してしまう。

これはカスタマージャーニーマップを作る上で最も陥りやすいものになるので、調査やデータ分析の結果などに基づいてファクトベースで情報を可視化して、ファクトではないものについては仮説検証を経てから取り込むなどのステップが重要になって来ます。

 

カスタマージャーニーマップ作成時のペルソナ設定

ここでは、カスタマージャーニーマップの作り方について簡単に解説しておくことにしましょう。

ちなみに、カスタマージャーニーマップは、カスタマージャーニーをシンプルな図およびイラスト、言葉などを使いながら図式化したものです。

最初に行うことは
1、ペルソナを明確に設定する
2、カスタマージャーニーマップのゴールの設定およびカスタマージャーニーマップのフレームを設定
3、顧客に関する情報を収集してマッピングする
などの流れになります。

ペルソナとは、自社の商品やサービスなどのターゲットになりえる顧客の具体的な人物像を意味するもので、ペルソナを設定することで対象のペルソナに向けた商品の開発や営業戦略、マーケティング戦略や販促活動などに役立てることができます。

カスタマージャーニーマップを作るときには、企業および担当者の願望および理想像に偏りがないことが重要になってきますが、組織横断で作成に取り込むことや調査およびデータに基づいてファクトベースで情報を可視化すること、明確なファクトではないところは仮説検証のステップを挟む、これらの注意点を理解しておけば企業や担当者の願望を強く反映してしまうなどの回避に役立てることができます。

 

最初から細かく作りすぎてしまう

最初から細かく作り過ぎてしまう点は、カスタマージャーニーマップの作り方の中で注意しておきたい項目の一つです。

ペルソナを明確に設定する段階でも、あまりにも詳細部分まで細かく設定し過ぎてしまえば逃げ場になるようなものがなくなるリスクもあるので注意が必要です。

ペルソナの設定を終えた後は、これから作成するカスタマージャーニーマップのゴールを決める段階に入ります。

具体的には、認知・情報収集・問い合わせ・購入・リピート購入の5つをそれぞれ設定することになるのですが、顧客行動の中でどのようなフェーズに焦点を置くのか、これにより収集すべき情報の種類や採用すべき施策は変わって来ます。

ところで、ペルソナとターゲットって違いがあるのだろうかなどの疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

顧客層といった部分ではターゲットもペルソナも同一と考えて良いのですが、人物像をどれだけ深く設定するのか設定における深さはペルソナとターゲットでは異なりますし、ターゲットよりペルソナの方がより詳細な人物像を設定できることになります。

ここでは、ペルソナとターゲットの設定例を具体的に解説しておきましょう。

 

ペルソナとターゲットの具体的な設定例

ターゲットの場合、年代(30代)・性別(女性)・職業(会社員)・趣味(ゴルフや旅行)などのように設定を行います。

かなり簡略した形で設定ができることが事例から分かるのではないでしょうか。

一方ペルソナの場合は、
・仮名(丸子)
・年齢(33歳)
・性別(女性)
・職業(大手の保険会社の営業職)
・住まい(東京都港区在住)
・家族構成(夫35歳と2人暮らしで子供なし)
・趣味(ゴルフや料理グルメ)
・ライフスタイル(月2度の割合でゴルフスクールに通い3か月に1度の割合でコースに出る)
・性格(買い物は吟味してから自分に最適なものを選ぶタイプ)
・SNS利用状況(毎日動画サイトやInstagramを利用してソムリエや料理ブロガーのアカウントをチェック)
などターゲットと比べるとより設定項目の量や内容などに違いがあることが分かります。

ペルソナの設定を行うときには、最初にターゲットに関する情報収集が必要不可欠です。

既存顧客のデータから、年齢・性別・職業などの基本情報と趣味・思考・ライフスタイルなどの詳細情報を集めます。

これはかなり細かな部分まで掘り下げるので、カスタマージャーニーマップにおいて最初から詳細部分まで作り過ぎないなどの注意点に合致するイメージを持つ人も多いといえます。

しかし、ペルソナの設定に置いてよりリアルな人物像を設定するためには、このような深い部分までの情報収集が欠かせませんし、情報が不足しているときには顧客アンケートやインタビューなど必要に応じて実施することも大切です。

座談会などを開催して顧客の声を拾い上げるやり方もありますが、オンライン座談会などなら出席しても良いと考える人が多いので座談会を開催するならオンラインがおすすめです。

これは、コロナ渦の影響で屋外に出たくない人や人が集まるような場所を控えたい、このように考える人が多いなどからもオフラインで開催するよりもオンラインで開催した方が必要な情報をより多く、かつ効率的に収集できるわけです。

情報収集を行うときには営業が持っている顧客情報の共有化を行う、デジタルデータだけでは得ることができない情報を得ることがペルソナの完成度を高めるポイントになって来ます。

 

特徴の文字化と分離作業

集めた情報をどのように活用すべきか、その第一弾として行う必要があるのが収集した情報からターゲットの特徴を文字化すること、そして分離を行う作業です。

関連性の高い情報を集めることで共通するキーワードの発見に役立てることができる、購買の動機や行動心理などの推測ができるようになるので特定の行動パターンの発掘にも役立てられます。

関連性の高い情報をグルーピングすると、ターゲットの隠れたニーズを発見できることもあります。

収集および分析を行った情報を基にして、ターゲット増に属性や生活スタイルなどの詳細部分を追加することで人物像の輪郭を明確なものにできるようになります。

人物像が曖昧な状態になっているときには情報の不足になるので、顧客との接点を多く持つ営業担当者にヒアリングを行って情報の追加をしておきましょう。

これらの作業でペルソナに情報を落とし込むことができたわけですが、この段階ではペルソナの設定は完了になっていない、もう一つ重要な作業でもあるペルソナの検証および修正が欠かせません。

設定したペルソナが現実的な顧客のニーズとかけ離れているものではないこと、自社製品およびサービスに最適なものであるのか否かを検証しなければなりません。

検証した結果、必要に応じて修正を行うことや顧客の真の姿を把握している営業部門の声を反映しながら検証および修正まで進める、これでペルソナの設定が完了になるわけです。

 

ペルソナ像に主観の入れ過ぎは要注意

情報収集の不足や仮設などに主観が入ってしまうこともありますが、あまりにも主観が多く入り過ぎると実際のニーズとは違ったペルソナ像を設定してしまうリスクがあるなど注意が必要です。

マーケティングが得意にしているデジタルデータによる分析だけでは特定の一部分の情報しか目にすることができないので、偏ったペルソナになる可能性も少なくありません。

主観がなくてリアルであり人間味を持つペルソナを設定するためのポイントは、営業分とマーケティング部門の連携は必要不可欠であり営業部門はマーケティング部門と連携を図りながらよりリアルなペルソナを設定するよう意識する、マーケティング部門もデータから見えにくい部分は営業部門から調達するなど顧客の真の姿を捉えることが大切です。

見込み顧客は文字通り見込みになるお客さんになるわけですが、顧客像は時代の流れや社会情勢などにより変化していくものです。

そのため、一度設定を行ったペルソナは時代の流れや現代の消費者のニーズを捉えながら常に見直しを行って、必要に応じて修正や追加を行うなどメンテナンスも欠かすことができない作業といえましょう。

これは、今の時代に最適なリアルなペルソナを設定するためのコツ、成功へのカギになるものといえます。

 

作っただけで満足し、バージョンアップしない

ペルソナを設定することで戦略が立てやすくなること、関連部門だけでなく企業内全体で共有ができるようになること、そして顧客視点でとらえることができる、このような3つのメリットがあります。

ここでは最初に、それぞれのメリットについて解説していきます。

 

ペルソナ設定で得られる3つのメリット

戦略が立てやすくなる

ペルソナを設定するメリットは、ターゲットを明確に絞り込んでマーケティング戦略および販売戦略の中での仮説を立てやすくしてくれる点です。

顧客のことを把握していない、人物像が明確ではない状態ではペルソナの購買心理にアプローチしても直接売り上げに結び付けることはできません。

さらに、どのようなタイミングでどのような戦略でアプローチを仕掛ければ良いのか分からないため常にトライアンドエラーを繰り返してしまう、時間および労力や予算の無駄に繋がる可能性も高くなりがちです。

その為、効率的にアプローチすることや成果に結びつけるためにもペルソナの設定が重要であることが分かるのではないでしょうか。

 

企業内全体で共有ができるようになる

設定を終えたペルソナは、営業部門やマーケティング部門など関連している部署やプロジェクトチーム内で共有するだけでなく、商品開発部門や企画部門、カスタマーサポートなど他の部署と共有することも可能になって来ます。

企業内でペルソナを共有できればペルソナに基づいた商品の開発ができるようになる、これにより顧客満足度の向上にも役立てることができるわけです。

さらに、共有化を図れることで部門間でのブレがない戦略を立てるときにも役立ちます。

 

顧客視点でとらえる

自社の理想での顧客像の設定、予算および期日など部門ごとの都合や顧客視点ではなく、自社視点でのマーケティング戦略および販売戦略を立ててしまうケースは多いといえます。

しかし、ペルソナの設定が行われている場合であれば、常に顧客視点で物事を見ることができるようになるので適切なマーケティングおよび販売戦略を立てることができるメリットに繋がって来ます。

ペルソナ像が求めている商品設計になっているのか、購買心理を掴むための施策およびキャッチコピーになっているのか、ペルソナの設定を行っておくと客観的にこれらの検証が実現できます。

 

マッピングするためのフレームとは?

ペルソナの設定を含め、一度作成したカスタマージャーニーマップは顧客の情報行動および購買行動など変化が激しいことからも、1年近く経過すると現実とは異なる部分が出現してしまうなど半年や1年単位などを目安にしたり、キャンペーンを企画するときなどはカスタマージャーニーマップの見直しを行って常にバージョンアップできる環境づくりが求められます。

カスタマージャーニーマップを作るとき、これを作成するために収集した情報をマッピングするためのフレームを決める必要がありますが、

●利用率が高めとなるものは横軸に購買プロセスに相当する認知・興味関心・比較検討・購入の4項目
●縦軸に課題と施策に相当するタッチポイント・行動・思考感情などの3項目

これらを配置してマッピングを行うことができるフレームです。

もちろん、自社商品やサービスの特徴、ペルソナの特徴と照合しながら作成することが大切です。

フレームが決まったら、今度は社内に点在している様々な顧客情報や営業部門や他の部署が持っている顧客情報を集める作業を行います。

・ウェブから得ることができるデジタルデータの分析
・定量調査およびアンケートから得ることができる定性調査
この2つから情報を集めておきます。

他にも、過去の問い合わせの内容や顧客管理システムに登録が行われている商談や受注の情報、展示会やセミナーなどで集めたアンケート結果、商品もしくはサービスに対する顧客満足度の調査内容および結果やカスタマーサポートによる対応履歴など、これらのデータは有効活用できるものですからしっかり集めることが大切です。

 

カスタマージャーニーマップは常に更新して行きましょう

営業部門の中では、顧客行動および思考のパターンなどお客さんの生の情報をマーケティング部門に伝達することが求められますし、リアルな顧客情報の反映を行ってカスタマージャーニーマップを作るためには営業部門の力は欠かすことができない存在といっても過言ではありません。

顧客の行動や思考・感情など集めた情報を、設定してあるフレームに沿いマッピングすることになりますが、特定の担当者の主観でマップを作らないことは注意すべき点の1つです。

あくまでも、組織横断のスタイルで各メンバーを集めてワークショップ形式で進めることが成功に導くコツ、営業部門の場合も積極的にワークショップの開催を促進させるなどその場で積極的な発言することが大切です。

カスタマージャーニーマップを作るメリットは、
・顧客をより深く理解できる
・企業目線ではなく顧客目線で発想ができるようになる
・マーケティング活動における意思委決定が迅速で的確になる
このような3つが挙げられるわけですが、カスタマージャーニーマップは1度作れば終わりなどのイメージもこの3つのメリットだけを見る限りでは連想できてしまいす。

しかし、現代はネット社会であると同時に技術も日々進化し続けている、顧客の行動や購買意欲なども常に変化をし続けることからも一度カスタマージャーニーマップを作成すれば終わりではなく、常に更新を行うことが重要です。

顧客の情報行動や購買行動は常に変化をし続けている、それを知らずに1年前に作成したカスタマージャーニーマップを使ってマーケティング戦略を立てたとしても顧客のニーズとは程遠いものになっていて効果そのものを得ることができない、時間や経費だけが無駄になる可能性も高まります

基本的には、カスタマージャーニーマップは半年から1年を目安に更新を行いバージョンアップすること、その段階でのニーズに合うペルソナ設定なども欠かせません。

また、バージョンアップするときにはなるべく手間をかけずにできる方が便利などからもバージョンアップや更新がしやすい仕組みを構築することも大切です。

更新がしやすい仕組みになっていれば、短時間で必要個所の修正や追加が容易にできるなどおすすめです。

なお、ネットの中には様々なカスタマージャーニーマップの事例が掲載してあるので、それを参考にして更新やバージョンアップのしやすさなどを理解することが大切です。

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