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マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ

自社の見込み顧客を見極める(ペルソナ設計)

マーケティングオートメーションにおけるシナリオとは、見込み客の獲得から商品やサービスの利用・購入に至るまでの筋書きのことを指します。

どのような顧客に対して、どのようなアプローチをするのかを定めたルールのようなもので、「誰に」「いつ」「何を」「どのように」という4つの要素を定めておくことで、アプローチすべきタイミングを逃して顧客を取りこぼしてしまうリスクを軽減することが可能です。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオは、「誰に」「いつ」「何を」「どのように」という4つの要素で構成されますが、シナリオ作成でまず行うべきなのはペルソナを設定することです

ペルソナとは、自社がターゲットとする顧客像のことで、マーケティングオートメーションのシナリオにおける「誰に」に該当します。

ペルソナの設定は、シナリオ作成における最も基本となる部分となりますが、単なるターゲット設定とは異なるので注意が必要です。

ターゲット設定では、「30代の男性」「東京都在住の主婦」といったように、年齢・性別・居住エリアといった属性でマーケティングの対象を決定します。

一方のペルソナ設定では、ターゲット設定よりも詳細な人物像を設定していきます。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ

具体的には、「東京都世田谷区在住の35歳男性で、営業職の係長をしており年収は700万円、2歳年下の妻と3歳の子供の3人でマンションに住んでいる。趣味はゴルフで休日は家族サービスに励んでいる。」といったように、より具体的な人物像を設定するのが基本です。

マーケティングオートメーションのシナリオ作成では、ターゲット設定のような漠然とした顧客像でも問題はありませんが、可能な限りより詳細な人物像であるペルソナを設定することをおすすめします。

また、具体的なペルソナ設定では、自社の商品やサービスが提供できるのはどのような顧客なのかを明確にしていきますが、どのような顧客をターゲットにするのかを決める際は、顧客をライフサイクルや行動、属性などの軸で分類するのが一般的です。

顧客をライフサイクルを軸に分類する

顧客のライフサイクルとは、ある人物が商品やサービスを知ってから購入や利用に至るまでのプロセスのことです。

一般的には、見込み顧客(商品やサービスを購入する可能性がある顧客)、新規顧客(新しく商品を購入したりサービスを利用したりした顧客)、一般顧客(継続的に商品購入やサービス利用をしている顧客)、優良顧客(頻繁に商品購入やサービス利用をしている顧客)、休眠顧客離反顧客(かつて商品購入やサービス利用をしていたものの何らかの理由で離脱してしまった顧客)の5つに分類されます。

一般顧客と優良顧客の違いや、休眠顧客・離反顧客の定義は企業によって異なりますが、顧客は新規顧客から一般顧客へ、一般顧客から優良顧客へ、優良顧客から休眠顧客へと移行していくのが一般的です。

顧客を行動を軸に分類する

また、顧客の行動に分類するケースもあります。

展示会への参加や来店相談、資料請求といったオフラインの行動を軸にすることもありますが、マーケティングオートメーションツールを活用している場合はオンライン上の行動を軸に分類するのが一般的です。

顧客のオンライン上の行動としては、メールを開封した・メールに添付されていたURLをクリックした・商品ページを閲覧した・商品をカートに入れたといった行動が挙げられます。

マーケティングオートメーションツールを活用していれば、このような行動と顧客情報を紐づけてトラッキングできるので、シナリオ作成に役立てることが可能です。

顧客の属性で分類する際は、性別・年齢・職業・年収・居住エリア・未婚既婚・子供の有無・趣味といった項目を考慮していきますが、これらの属性には不変なものと可変なものがあります。

例えば、年齢は毎年変わっていきますが、顧客が能動的に変えることはできません。

一方で、職業や居住エリア、趣味などは顧客が能動的に変えることができます。

顧客を属性で分類する際は、不変なもの可変なものとがあることを念頭に置きつつ、属性による分類によって何らかの共通点が生まれると仮定してシナリオを作成していきます。

 

以上がペルソナを設定する上で、顧客を分類する代表的な方法となりますが、マーケティングオートメーションツールを導入している場合は、膨大な顧客情報やリード情報が蓄積されているはずです。

それらの情報の中には、顧客の属性やオンライン上での行動履歴が含まれているので、顧客情報やリード情報を活用することでシナリオ作成を進めていきます。

例えば、ライフタイムを軸に顧客を分類する場合は、マーケティングオートメーションツールのスコアリング機能を活用するのがおすすめです。

スコアリング機能とは、顧客の一つひとつの行動に点数を付けて、合計スコアで顧客の見込み度を計測する機能です。

例えば、メールを開封したら1点加算、商品ページにアクセスしたら2点加算といったように、顧客が取った行動に対してスコアを付けていきます。

このように顧客の行動ごとに点数を加算・減算していくことで、顧客の興味や関心の程度可視化することが可能です。

なお、BtoBビジネスの場合は、人物像だけでなく企業像についても設定していく必要があります。

BtoBビジネスにおける人物像の設定では、どのような部署の、どのような立場・職種の人が、どのような課題を抱えている際に、自社商品・サービスの利用を検討するのかをベースにペルソナを設定していくのが基本です。

また、企業像については、どのような業種や規模の企業が、どのような状況になったときに、自社商品・サービスの利用を検討してくれるのかを検討していきます。

自社商品・サービスのターゲットが幅広い場合は、企業規模・業種・担当者の課題ごとに様々なペルソナを設定していきましょう。

また、ペルソナ設定のやり方は自由ですが、全ての顧客セグメントに対してシナリオを作成する必要はありません。

あまりにも小さなボリュームのセグメントに対してシナリオを作成しても大きな効果は期待できないので、顧客の分類を行った後はどの層に対してシナリオを作成すべきなのかを十分に検討する必要があります。

見込み顧客の購買プロセスを考える(カスタマージャーニー策定)

ペルソナの設定が完了したら、そのペルソナがどのように商品購入やサービス利用に至るのかを検討していきます。

顧客の購買プロセスは、マーケティング業界ではカスタマージャーニーと呼ばれていますが、策定したカスタマージャーニーに合わせて適切なタイミングでアプローチすることで、顧客の見込み度合いを高めることが可能です。

また、カスタマージャーニーを可視化したものをカスタマージャーニーマップと言います。

BtoBビジネスは、BtoCビジネスと比べて顧客の購買行動が複雑なので、カスタマージャーニーマップで顧客の購買プロセスを可視化しておくことが重要です。

一般的に、カスタマージャーニーマップを作成する際は、まずペルソナの設定を行います。

ペルソナの設定方法は上記の通りですが、ペルソナの設定が完了したら、設定したペルソナが課題を抱え、自社の商品・サービスを認知し、最終的に購入・利用に至るまでの一連のプロセスを区分していきましょう。

BtoBビジネスの場合は、顧客は既に何らかの問題を抱えているケースが多いので、一般的には課題認知情報収集商品やサービスの認知比較検討購入や利用といったフェーズに分類するのが一般的です。

ただし、業種によってはより細かく区分できる部分もあるので、どのような区分にするのかは十分に検討する必要があります

購買プロセスの区分が完了したら、各フェーズごとのペルソナの内面を整理していきましょう。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ具体的には、各フェーズごとにペルソナがどのような課題やニーズを抱えており、どのような情報を求めているのかを検討し、次のフェーズへと移行させるためには何が必要なのかを考えていきます。

各フェーズでペルソナが何を考えて、どのようなアクションを取るのかを細かく設定し、どのような接点でどのようにアプローチしていくのかを検討することで、カスタマージャーニーマップを作り込んでいきましょう。

なお、各フェーズでペルソナが取る行動を設定する際は想像で設定するだけでなく、ホームページの閲覧履歴を確認したり営業担当へのヒアリングを行ったりして、具体的にどのような行動を起こしているのかを把握しておくことも大切です。

また、ペルソナが抱える課題やニーズは、可能な限り細かく想定しておくのがポイントです。

顧客の視点に立ち、各フェーズごとに何を考え、なぜそのアクションを起こしたのかを考えていく必要がありますが、詳細な課題やニーズを設定できれば、カスタマージャーニーマップを作成した後のシナリオ作成をスムーズに進めることが可能となります。

そのため、このステップは可能な限り丁寧に行っていきましょう。

さらに、状況に応じて購買後についても考慮しておきましょう。例えば、リピート率を高めたいという場合は、購買後の顧客行動について考えておかなければなりません。

購買につながった顧客の中にも、自社の商品やサービスに対して満足して再び購入したい顧客もいれば、不満があって再び購入すべきか迷っている顧客もいるはずです。

リピート率を高めるには、後者の顧客に対してどのようなアプローチができるのかが重要となるので、購入後の顧客がどのような不満や悩みを抱えているのかを考えていく必要があります。

例えば、商品やサービスの利用方法が分かりにくい可能性がある場合は、図解付きのマニュアルを作成したり、商品やサービス提供後すぐにカスタマーサポートの連絡先を送ったりする必要があるでしょう。

以上がカスタマージャーニーマップの基本的な作り方となりますが、カスタマージャーニーマップを作成する際は客観的な視点に立つことが大切です

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ

カスタマージャーニーマップを作成していると、自社の商品やサービスへの思いが強すぎるあまりに、気が付かない間に自社にとって都合が良い顧客像や顧客行動ばかりを考えてしまうケースが少なくありません。

顧客は自社の商品やサービスに対して、必ずしも好意的な印象を持ってくれるとは限りませんし、そもそも自社の商品やサービスに興味や関心を持ってくれない可能性も十分にあります。

そのため、自社の都合ではなく顧客の視点を客観的に捉えて、各フェーズごとにどのような心理でどのような行動を起こすのかを冷静に分析することが大切です

なお、自社の希望や都合を排除するためには、ホームページの閲覧履歴や広告のクリック率、アンケート結果といった事実に基づく情報を組み込むのがおすすめです。

また、カスタマージャーニーマップを作成する際は、営業・開発・カスタマーサポートなど様々な部署を巻き込むことも重要です

様々な部署を巻き込むことで、多角的な視点でマップを作成できるので、完成したマップに偏りが生じにくくなります。

カスタマージャーニーマップ作成後に策定したシナリオを社内全体で共有する上でも、多くの部署の意見を取り入れてマップを作成しておくことが大切です

さらに、いきなり複雑なマップを作ろうとしないのも、カスタマージャーニーマップ作成のポイントです。

いきなり高度なマップを作成しようとしても時間ばかりかかってしまいますし、マップを完成させることが目的になってしまったり、実現性が低いマップになってしまったりする可能性もあります。

マーケティングオートメーションツールを活用すれば、大量の顧客情報から複雑なカスタマージャーニーマップを作成することは可能ですが、そもそも完璧なカスタマージャーニーマップが作成できるとは限りません。

現在、あらゆる情報やプラットフォームのデジタル化に伴い、ユーザーのニーズや行動は多様化が進んでいます。

複雑化した顧客の購買行動を一つの図で完全に表現することは不可能に近いことなので、始めはシンプルなカスタマージャーニーマップを作成するのがおすすめです

カスタマージャーニーマップは作成したら終わりではなく、定期的に見直す必要があるので、シンプルなマップであっても後から検証や改善を繰り返すことで徐々に精度を高めていくことは可能です。

“そのため、最初から複雑なマップを作成しようとせず、まずはシンプルなものを仕上げることを目指しましょう。”

見込み顧客とのコミュニケーション内容を設計する(キャンペーン設定)

カスタマージャーニーマップの作成が完了したら、そのマップをベースに見込み顧客に対して「いつ」「何を」「どのように」アプローチしていくのかを設計していきます。

見込み顧客が抱える課題は多種多様で、その緊急度も顧客によって異なるので、購買プロセスにおける各フェーズの顧客に対して、どのようなコンテンツを提供し、どのような状態になってほしいのかを設計しておくことが大切です。

 

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ

マーケティングオートメーションシナリオの「いつ」

マーケティングオートメーションのシナリオにおける「いつ」では、どのタイミングでアプローチするのかを決定しますが、主に時間帯起点行動頻度などを考慮します。

例えば、メルマガを配信する場合は、どの時間帯に送ると開封率が高いのか、顧客がどのような行動をした後に送るのが効果的か、どの程度の頻度で送るべきかといった視点で考えていくことが重要です。

顧客へのアプローチを適切なタイミングで行うことができれば、自社の商品やサービスに対する関心度や購買意欲を高めることが可能です。

一方で、アプローチのタイミングを誤ると、顧客との関係悪化につながる恐れがあります。

場合によっては、自社の商品やサービスに対して嫌悪感を感じて、競合他社へ流れてしまう可能性も十分にあるので注意が必要です。

なお、顧客へのアプローチを行うタイミングは、マーケティングオートメーションツールで管理している顧客情報をベースに考えることができます。

過去の顧客行動を分析し、起点行動から目標行動へと移行するタイミングを見計らえば、効果的なアプローチにつなげることが可能です。

起点行動と目標行動の組み合わせとしては、資料請求から購入、ホームページへのアクセスから資料請求、購入から次回購入などが挙げられます。

起点行動から目標行動へ移行する際は顧客が何らかの決断をしているので、ある起点行動を起こした顧客の背中を押してあげるようなアプローチを行うことで、目標行動へと自然と移行させることが可能となります。

マーケティングオートメーションシナリオの「何を」

また、マーケティングオートメーションのシナリオにおける「何を」では、顧客が何に興味を持つのかを考えるのが基本です。

顧客に提供するコンテンツとしては、自社の紹介商品やサービスの紹介商品やサービスを使った事例顧客の課題解決につながるコラムセミナーへの招待などが挙げられますが、どのようなコンテンツが適しているのかは、顧客のライフサイクルや購買プロセスのフェーズなどによって異なります

例えば、新規顧客に対しては、自社の商品やサービスの詳細な使い方を提供したり、自社ブランドの紹介を行ったりすることで、自社への信頼度やリピート率を高めることができるでしょう。

一般顧客や優良顧客に対しては、商品やサービスのアップデートの案内を配信すれば、関係性を維持できる可能性は高まります。

何らかの理由で自社商品やサービスかた離れてしまった休眠顧客・離反顧客に対しては、顧客が魅力的に感じるであろうインセンティブコンテンツを配信することで、再び自社商品やサービスへの関心度を高める必要があるでしょう。

顧客との継続的な関係性を構築したり、関係性を取り戻したりするためには、顧客目線に立ってどのような情報が必要なのかを検討する必要がありますが顧客に提供するコンテンツ可能な限り豊富に準備しておくことが大切です。

顧客へ提供できるコンテンツが少ないと、マーケティング施策の幅も狭くなってしまいます。

同じコンテンツばかり配信しても効果的なアプローチとはならないので、マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成の際はコンテンツの作成にも注力することが重要ですが、マーケティングオートメーションツールを導入していれば、メールの自動配信が可能なので、コンテンツの作成にも時間を割けるでしょう。

マーケティングオートメーションシナリオの「どのように」

マーケティングオートメーションのシナリオにおける「どのように」とは、顧客へのアプローチ手段のことを指しますが、BtoBビジネスではEメールが主流です。

Eメールは、低コストで配信可能で、自社ホームページへ直接的に誘導できるというメリットがありますが、顧客へのアプローチ手段はEメールだけでなく、ダイレクトメール・SNS・自社ホームページ・オウンドメディア・アウトバウンドコール・訪問営業といった手段もあります。

場合によっては、Eメールではなくアウトバウンドコールや訪問営業といったアプローチ手段の方が効果的なケースもあるので、自社リソースやコストなどを考慮しつつ、どのようなアプローチ手段が最も効果的なのかを検討しましょう。

ペルソナの設定、カスタマージャーニーマップの作成、顧客とのコミュニケーション内容の設計というステップを踏めば、マーケティングオートメーションのシナリオを構成する「誰に」「いつ」「何を」「どのように」という4つの要素は網羅されます。

以上の内容を踏まえて、具体的なシナリオ例を考えてみましょう。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ

具体的なシナリオ例を考える

例えば、「資料請求を行ったものの商品購入やサービス利用に至っていない顧客に対しては、資料請求から1週間ほど経過したら、自社商品やサービスを利用して課題解決に至った事例を紹介しているページへのリンクをメールで配信する。」といったシナリオが考えられます。

「導入事例のページを閲覧した顧客に対しては、ページ閲覧直後にメールでセミナー参加の案内を送信する。」というシナリオが効果的でしょう。

導入事例を閲覧した顧客は、自社商品やサービスへの関心度が高めなので、オフラインでアプローチして関係性を構築した方が制約につながりやすくなります。

加えて、セミナー参加の案内メールが未開封の場合は数日後に再送信を行う、開封されたものの申し込みに至らなかった場合は「残り座席数わずか」といった内容のメールを送るといったシナリオを組み合わせるとより効果的です。

「自社ホームページへの定期的なアクセスが確認されていたものの、その後のアクセスが見られない顧客に対しては、再び自社への関心度が高まりそうな新商品や新サービスの案内をメールで送る。」というシナリオが考えられます。

新商品や新サービスの案内を行っても反応がない場合は、別のセグメントへの移行を検討しましょう。

PDCAサイクルをまわす

マーケティングオートメーションのシナリオは作成したら終わりではなく、PDCAサイクルをまわして改善点を洗い出して、精度を高めていくことが大切です。

PDCAとは、Plan(計画)Do(実

行)Check(評価)Action(改善)の頭文字を取った略語で、この4つのステップを繰り返し行うことで、継続的に業務の効率化を図っていくことが可能です。

大まかな流れとしては、まずPlan(計画)目標を設定し、Do(実行)で目標に基づいた行動を起こします。そしてCheck(評価)行動の結果を評価して、必要に応じてAction(改善)改善を行い、改善案を基に新しくPlan(計画)目標を定めます。

このように、Plan・Do・Check・Actionを繰り返していくことからPDCAサイクルと呼ばれていますが、PDCAサイクルを活用すると、目標とタスクが明確になるとともに課題も容易に発見できるため、余計なタスクや課題発見に要する時間を減らすことが可能です。

加えて、PDCAが一巡すると必ず改善案が示されるので、PDCAサイクルをまわしていくと悪い部分を確実に改善していくことができるようになります。

なお、PDCAサイクルをまわす際は、Plan(計画)で目標(KGI)を具体的に定めることが大切です。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ

メールマーケティングにおけるPDCAサイクル

–Plan(計画)

例えばメールマーケティングにおいては、「リードナーチャリングをしたい」「資料請求や商品購入を増やしたい」「顧客との関係性を深めたい」「顧客の選別を行いたい」といったKGIが挙げられます。

そして、設定したKGIを達成するためのステップを確認するとともに、各ステップでKPIを設定していきましょう。

メールマーケティングにおける代表的なKPIとしては、資料請求や購入などのCV(コンバージョン)数・メール内のURLのクリック数・開封率・メール到達数・メール配信数などが挙げられます。

–Do(行動)

具体的なKGIとKPIが設定できたら、コンテンツの作成を行うとともに、顧客へのアプローチを行っていきます。

メールマーケティングにおいては、資料請求ページや商品購入ページなどへのリンクを貼り付けたメールを配信するなど、目標に合致したメールを配信していきましょう。

配信するメールの内容がターゲットにマッチしていなかったり、読みにくいという印象を与えてしまったりすると、最後まで読んでもらえない恐れがあるので、ターゲットに適した内容のタイトルと本文を作成するとともに、伝えたい情報簡潔にまとめることを意識する必要があります。

加えて、不特定多数の顧客に対して送られたメールという印象を持たれると、自社に対するイメージ低下につながる恐れがあるので、顧客の名前や企業名を本文内に記入するなどして不特定多数への一斉配信のイメージを抑えることも重要です。

また、一回のメール配信でターゲットに刺さる情報を提供できる可能性は低いので、CheckとActionで徐々に効果的な行動につなげていくことが大切です。

–Check(評価)

メール配信が完了したら、配信したメールの評価を行うことになりますが、マーケティングオートメーションツールを活用すれば配信結果のレポートを簡単に作成することができます。

マーケティングオートメーションツールでまとめられる項目はツールによって異なりますが、配信数・メール到達数・開封数・開封率・URLクリック数・コンバージョン数といった項目をまとめることが可能です。

–Action(改善

そして、レポートティングが完了したら問題の原因を考えていきます。例えば、目標の開封率を達成できなかったという場合は、ターゲットにマッチした内容のメールでなかった可能性があります。

また、件名の内容や長さ、配信するタイミングに問題があった可能性もあるでしょう。原因の洗い出しが完了したら、最も可能性が高い原因に対する改善案を作成していきます。

メール内容に問題があった可能性が高いのであれば、次の配信では異なる内容のメールを配信する必要がありますし、件名に問題があった可能性が高いと判断した場合は、簡潔かつ訴求力がある件名を考え出す必要があります。

改善案の策定が完了したら再びPlan(計画)に戻り、Do(行動)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返していきましょう。

A/Bテストの活用

また、メールマーケティングにおけるPDCAサイクルでは、A/Bテストを活用するのもおすすめです。A/Bテストとは、AとBの2つのパターンを用意し、どちらのパターンがより効果的なのかを検証する手法のことを指します。

メールマーケティングでは、特定の要素のみを変更した2種類のパターンのメールをターゲットに配信し、どちらの方がレスポンスが良かったのか検証します。

例えば、件名に具体的な数字を記入したメールを配信したグループと、件名に具体的な数字を記入しないメールを配信したグループのどちらが開封率が高いのかを検証すれば、件名に具体的な数字を入れなかったことがメールの開封率が低い原因なのかを特定することができます。

また、全く同じメールをAグループには10時に、Bグループには17時に配信すれば、どの時間に配信するのが効果的なのかを把握できますし、同様に曜日を変えてメールを配信すれば最も効果的な配信曜日を特性することが可能です。

なお、A/Bテストを実施する際は、必ず検証するポイント一つに絞ることが大切です。例えば、開封率が低い場合は、件名・差出人名・配信時間などを一つずつ変更して検証していく必要があります。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ

一回のテストで複数のポイントを検証しようとしても、問題が特定しにくくなるので注意しましょう。

また、A/Bテストは何回か実施する必要もあります。

仮に一回のテストで、Aの方が良い結果が得られたとしても、信頼できる結果ではない可能性があります。

例えば、件名に数字を入れたパターンと数字を入れないパターンのメールを配信した結果、数字を入れた方が開封率が5%高かったとしても、その結果はたまたまだった可能性も否定できません。

A/Bテストの結果は、何度も検証を行って初めて信頼できるものとなるので、一回のテストで結論を出さないことが大切です。

いきなり高度なシナリオは不要

ここまで、マーケティングオートメーションのシナリオ作成のコツを解説してきましたが、マーケティングオートメーションツールを活用すれば複雑なシナリオを作成することができます。

しかし、いきなり高度なシナリオを作成するのは避けた方が無難です。

複雑なシナリオを作成すれば、ターゲットに対して適切なタイミングで適切なアプローチが可能となりますが、複雑なシナリオを作成するには手間時間もかかります。

加えて、上記の通りマーケティングオートメーションのシナリオは作成したら終わりではなく、PDCAサイクルを回して改善を繰り返していく必要がありますが、いきなり分岐が数多く存在するシナリオを作成してしまうと分析の難易度は高まってしまいます。

PDCAサイクルにおけるCheck(検証)では問題点の洗い出しを行いますが、複雑なシナリオになればなるほどどの要素が問題だったのかの仮説を立てるのが難しくなるのが一般的です。

その結果、PDCAサイクルを何度も回さなければ、効果的な改善策を見出せなくなる恐れがあります。このように、多くのコストを費やして複雑なシナリオを作成したものの、検証が上手く行えずに成果が出ない原因を特定できないという事態に陥る可能性も十分にあります。

効果的な改善策を見出すのに時間がかかってしまうと、コンバージョンのチャンスを失いかねません。

また、見込み顧客が少ない企業の場合、複雑なシナリオを作成しても思ったような効果が得られない恐れもあります。

例えば、購買につなげることを目標にメール配信を行うケースにおいて、オンライン上での特定のアクションを想定したシナリオを作成した結果、購買に至る顧客がいつまでも見つからないという事態に陥ってしまうケースは少なくありません。

具体的には、2000件前後のメール配信を行った結果、開封率が40%、そこから自社ホームページへのアクセス率が30%だったとした場合、自社ホームページにアクセスした顧客は約240名となります。

さらに、自社ホームページにアクセスした顧客が資料請求する割合が10%、資料請求をした顧客が再び自社ホームページへアクセスする割合が10%、自社ホームページへアクセスした顧客が商品購入に至る割合が10%だったとすると、購入に至る顧客は0人になってしまう可能性があります。

このように、高度なシナリオを設計しすぎた結果、商品購入に至る顧客が発生しないという事態も起こり得ます。

また、BtoBビジネスではメール配信やホームページでの情報発信では、顧客の見込み度が十分に上がらないというケースも少なくありません。

BtoBビジネスの顧客は抱えている課題が複雑なケースも多いので、アウトバウンドコールや訪問営業の方が効果的である可能性もあります。

このような理由から、マーケティングオートメーションのシナリオはいきなり高度なものを設計するのではなく、最初はシンプルなものを作成するのがおすすめです。

例えば、資料請求を行った顧客を購買につなげることを目標にメール配信を行う場合、まず資料請求日に資料請求のお礼を伝えるメールを配信する。

そして、請求日から3日後に資料が届いたかを確認するメールを、5日後に商品やサービスの活用事例を紹介するメールを配信する。

さらに、7日後には商品やサービスに関するよくある質問と回答のメールを、10日後にはキャンペーン情報を配信するといったシナリオは、手間をかけずに作成することが可能ですが、このような分岐がないシンプルなシナリオでも十分に機能する可能性があります。

加えて、PDCAサイクルをまわす際もどこに問題があるのかを把握しやすいので、スピーディーに分析と改善を繰り返していくことが可能となります。

また、一つのシナリオで幅広い顧客をカバーしようとするのではなく、複数のシンプルなシナリオを作成するのがポイントです。

シンプルなシナリオであれば、複数作成しても手間がかかりませんし、改善もスピーディーに行うことが可能です。

マーケティングオートメーションのシナリオを作成する際は、複雑なシナリオが必ずしも見込み客やコンバージョン数の増加につながるわけではないという点を十分に理解しておくことが大切です。

あくまでマーケティング施策の一つとして捉えておくことが重要で、PDCAサイクルをまわして徐々に改善していくことで効果を高めていきましょう。

また、スピーディーに分析と改善を繰り返していくためには、分析する指標を絞っておくことも大切です。

マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作成のコツ

マーケティングオートメーションツールには、様々な分析機能が搭載されていますが、全ての機能を使って分析しても時間がかかるばかりで効果的ではありません。

例えば、配信したメールの件名と内容の効果を検証したい場合は、開封数やクリック数といった指標は分析せず、開封率やクリック率のみに絞るといった割り切った分析を行うことが重要です。

分析する指標を絞れば、スピーディーにPDCAサイクルをまわすことができるようになりますが、どのような指標を使うのかは慎重に判断する必要があります。

例えば、クリック率は「クリック数/メール配信数」で算出されるのが基本ですが、このような方法で算出されたクリック率は開封率に左右されることになります。

開封率が高ければ必然的にクリック数が多くなるのでクリック率も向上しますし、逆に開封率が低ければクリック数も低い値となります。

クリック率はメールの内容を分析する指標となりますが、「クリック数/メール配信数」で算出された数値を分析に使ってしまうと、メールの内容だけでなく件名に問題があった場合もクリック率は低下してしまいます。

クリック率が低い原因が、メールの内容にあるのか件名にあるのかを判断するのが難しくなってしまうので、メールの内容を分析するためにクリック率を活用する際は「クリック数/開封数」で算出された数値を使用しましょう。

このように、マーケティングオートメーションのシナリオを分析する際は、あらかじめ分析する指標を絞っておくことが重要ですが、どのような数値を使用すると効果的に分析できるのかをしっかりと検討しておくことが大切です。

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