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ABM(アカウントベースドマーケティング)の進め方5ステップ

 

①ターゲット選定

1つ目のステップはターゲットを選定することです。そのためには、まずターゲットを正確に定義しなければなりません。このプロセスを始める前に、ABMにおける戦略を考える必要もあります。それらの工程を省略すると、具体性に乏しい内容を立案することになるので注意してください。どのような形式が理想的なのか十分に検証することが求められます。とはいえ、何をベースにすれば良いのか分からない人も多いでしょう。何度も実施していると感覚をつかめますが、たいていの初心者は途方に暮れてしまいます。ですから、一般的な軸を踏まえたうえで、自社の方針と照らし合わせることがポイントになります。ABMには多くの捉え方があるため、実施する人や企業によって軸の種類もさまざまです。以下に挙げるのは一例にすぎないことを理解しておきましょう。そこからアレンジしていくことで、自社に最適な形式に仕上げられます。

全社で保有している顧客情報は、分散している状態だと活かしきれません。それらを一元管理できるように統合し、ターゲットとする企業を定めることが不可欠です。そのうえで重視されるのが自社のサービスをより細かく分析することです。どうのような分野で提供するのか見極めて、しっかりニーズを確認する作業などが発生します。課題を明確にすることで、それを礎とする戦略の策定が初めて可能になるのです。そこに含まれるアカウントを最大限に活かす方針でマーケティングを展開していきます。その際の代表的な軸は4種類であり、特に企業の選定おいて効果が大きいです。この4種類に必ずしもこだわる必要はありませんが、慣習的によく用いられているので参考になるでしょう。

利益性と親和性

1種類目は利益性と呼ばれるもので、これは大手企業を対象にするケースがよくあります。なぜなら、やはり大手のほうが高い利益を生み出しやすいからです。もちろん中小企業だからといって不可能なわけではありません。あくまでも傾向に基づく決め方なので誤解しないように注意してください。2種類目は親和性と表現されることが多く、こちらは特定の業界を対象とするものです。自社が選ぶときは、サービスの面で相性が良さそうな企業を選定することになります。ABMはサービスに重点を置くアプローチなので無視するわけにはいきません。ただし、担当者でもすべてのサービスを把握するのは困難です。そのような状態でも取りこぼしがないように、あらゆるスポットでアプローチを続けなければなりません。主に自社が提供しているサービスに注目することが大事です。

重要性と競合利用性

3種類目は重要性と位置づけられており、こちらに関しては自社の戦略にマッチしそうな企業が選ばれます。そのため、必ずしも業界全体が当てはまるわけではなく、知特定の地域に限定されることも多いです。それどころか新規市場のみが該当するようなケースもあるのです。4種類目は競合利用性という認知度の低いカテゴリとなっています。こちらの対象は自社のサービスではなく、競合のサービスを使っている企業です。他の手法ではあまり参照されない内容なので馴染がないという人もいるでしょう。しかし、ABMにおいては重要な役割を果たすので、最初のうちに理解しておくのが得策です。これらを参照して決定したら、そこに関連するアカウント群に注目しましょう。数が多いので見にくいと感じても不思議ではありません。それらを細かく分類して、個々にペルソナを設計していきます。大きな視点のままだと見えにくい要素がたくさんあります。

ペルソナ設計

次のポイントはペルソナの設計に関するものであり、この工程はターゲット選定に必須です。自社のサービスを導入するにあたり、関係する人物は意外とたくさんいます。数名で済むケースもありますが、20名以上が関わるようなケースも珍しくありません。もちろん企業規模にもよりますが、職種や役職といった属性をしっかり考慮しなければなりません。部門を越えてヒアリングする必要があるなど、一筋縄では進まないこともあるでしょう。とはいえ、重要性が高いデータなので、妥協せずに収集することが望ましいです。そのうえで関係者のペルソナを順番に設計しましょう。ここでも使用される項目を事前にチェックすることが大切です。

いろいろなパターンがありますが、よく使われる項目として企業属性が挙げられます。やはり企業が重要な基盤となるので、これを省略してしまうと先に進められません。それと同じぐらい導入に関与した人たちの属性も大事です。見落としがないように十分にチェックする必要があります。担当者が把握していない領域でサポートしている人もいるでしょう。したがって、サービスの導入前に打ち合わせを実施して、あらかじめ誰が関与しているのか明らかにしてください。勝手な印象だけで進めると失敗するリスクが大きくなります。先入観を捨ててトータルチェックする姿勢が必須です。さらに企業活動も大事な項目として定められています。それとセットで事業活動も該当しますが、いずれも企業の社会的な意義に関係があります。

軽視されがちな項目でも、企業や事業の価値に関わる大事なものです。それらに加えてニーズに着目することも忘れてはいけません。企業が抱えている課題なども有力な判断材料になるでしょう。このように複数の項目を揃える際、多くの時間がかかることも十分にありえます。したがって、計画的に進めるための準備を欠かさないことも大切です。ターゲットの選定は最初のプロセスなので、ここで停止してしまうとスムーズに進まなくなります。そのような事態を避けるため、ボトルネックの解消を心がけることも重要になるでしょう。

いずれにせよ、ターゲットが不明瞭なままだとABMは本領を発揮できません。注力する企業をピックアップし、リソースをその攻略に割り当てましょう。たとえば、単価が低い10社を相手にして、リソースを均等に分けるのは困難です。しかし、単価が10倍の企業を1社だけ取り上げ、そこにリソースを注ぎ込むことは十分に可能です。つまり、同じリソースを持っている状況でも、ターゲット次第で売上の最大化が可能になります。

 

②検討プロセスの想定と課題の仮設立て

ターゲットを選んだら検討プロセスを想定するステップに移ります。検討プロセスも整理が必要ですが、ターゲットが定まらないと正確性が欠けやすいです。そのため、本当にターゲットが十分なのか確認することから開始したほうが良いでしょう。それで問題がないと確信できた場合、実際に検討プロセスを整えていきます。ここはターゲットの企業ごとに大きな差が生じるポイントです。たとえば大手企業を対象とするなら、購買に関してさまざまな想定をすることになるでしょう。関与する人も多くなりますし、決済の長時間化といった問題が発生することもありえます。いずれにせよ、アカウント群の細分化が求められるので、それぞれに最適と思われる検討プロセスを用意しなければなりません。アカウントのデータが多いだけでは、活かしきれない可能性が高いです。よって、次のステップで抜本的な後押しをすることになります。

検討プロセスの想定については、過去に体験したという人もいるでしょう。しかしマーケティングの部門だけで実施しているなら、必ずしも最適なアウトプットではないかもしれません。膨大なデータを使えるので、論理的には高い精度の論拠が揃うはずです。しかし実際には違っており、いわゆる机上の空論と呼ばれる状態になっています。想定と大きくかけ離れた数値になることも少なくありません。これを避けるには、コミュニケーションの重要性をもっと重視する姿勢が不可欠です。まずはモデルケースとして、あらゆるパターンを検証したほうが論拠を強化できます。多様なパターンがあるので、モデルケースを参照してイメージを固めると良いでしょう。

マーケティングや営業と連携することが容易になる

それだけの検証を通じて、マーケティングや営業と連携することが容易になるのです。マーケティングがリードを獲得した場合、営業対象外になることは基本的にありません。別の見方をすると、営業がリードとの接触に力を入れているといえます。十分に接触しているので、フィードバックの正確性も著しく上昇するでしょう。

これから連携する際も、事前にこのような関係を築くことで円滑に遂行しやすくなっています。ABMにおける最初のステップに着目しつつ、どのような受注によって送り出されたのか示されています。受注に至ったのなら、少なくとも検討プロセスを経ているはずです。実際に行われる時期についても検証が必要になるでしょう。顧客の受注というタイミングで実施されるストーリーは参考になります。それだけなく、課題についてもかなり高度なレベルで想定と仮説を進められます。特に注視する必要があるのは課題の内容であり、コミュニケーションをとりながら課題を明らかになければなりません。そして、プロセス整理に加えて課題の仮説立てまで、ワンストップで進めたほうがスムーズに流れやすいです。

アカウントのリスト

なお、このタイミングでアカウントのリストも完成させたほうが良いでしょう。最初のステップで作る人もいますが、初心者の場合はこの段階前に用意できないことが珍しくありません。とはいえ、別に焦る必要はなく、このステップを終えるまでに作れば間に合います。獲得したリードの数が満足できるレベルなら、それに優先順位を設けることになります。ただし、やみもくに優先順位を付けるだけでは、所望の効果を期待できません。重要なのはABMの本質を見失わないことであり、リストの作成時も常に意識することが求められます。顧客データを用いて分析し、そこから自社にとって有益なアカウントを選別するといった具合です。リードを対象としているマーケティングは昔から存在しています。有効な場合もありますが、的外れのケースも散見されることが多くなりました。

それらに重点を置かず、あくまでもアカウントにこだわることがABMの特徴です。このステップではそれを強く意識しなければなりません。BtoBのビジネスを実施するにあたり、意思決定をする人は1人ではありません。たいていは複数の人が協力して決めるため、個人単位とはいえないのが実情となっています。したがって、以前のマーケティング手法では実情に合わないケースもあるのです。ですから、ABMのようにターゲットを企業単位で捉えることは自然であり、マーケティングのアプローチとしても適切です。そう言われると、とても斬新な手法であるように聞こえる人もいるでしょう。日本の営業でよく使われてきた手法であり、これより目新しいものは他にもたくさんあります。

これまでアカウント営業を担当していたのは大手企業が中心でした。いわゆるアカウント営業で実施されてきた活動に着目し、営業とマーケティングが協力して推進していきます。それこそがABMの特徴であり、このステップで準備の大半が整った状態になるのです。前述のとおり、ABMの基本は取引先企業を集中させることです。主要かつ少数の企業に集めるため、ターゲットになりやすいのは大手企業となっています。利益の高さを見据えるとそうなりますが、検討プロセスの想定が不十分なら失敗する可能性が高いです。それゆえ、こちらのステップは慎重かつ丁寧なスタンスで確実に進めることがポイントといえます。特にアカウント群については、雑然とした状態で放置しないように整理しなければなりません。

いずれにしても、リストアップした状態から大きく進めることが必要になります。アカウントに関する意識決定者といった主要な人物は現状を把握しなければなりません。その他のキーパーソンも正確に抽出し、ポジションなども明確にすることが望まれます。そうしないと検討プロセスの想定は外れやすく、課題の仮設立ては欠席扱いになりやすいです。そのような人物とタッチポイントを共有できないなら、自分たちで用意しなければなりません。ダイレクトマーケティングなどの方法で補完していくことも検討してください。この先のステップに進んでしまうと、そのようなフォローを行うことは困難になります。以前はセミナーや展示会といった現地型の手段がよく選ばれていましたが、現代ではSNSを活用しているケースが多く見られます。WeB広告を作って配信する方法も利便性が高いです

 

③検討プロセスに沿ったコンテンツと露出するチャネルの決定

ABMの中核をなすステップに入っていきます。前のステップですでに課題はピックアップされているので、次はそれを解決する視点で取り組まなければなりません。課題の解決するだけでなく、顧客の状態に着目することも不可欠です。なぜなら、顧客の検討プロセスをしっかり推進することも、このステップで掲げている目標だからです。とはいえ、単純に計画を立案するだけでは、既存のマーケティング以上の効果は得られません。ポイントになるのはコンテンツのレベルで決定していくことです。チャネルに関しても同様であり、幅広い視野を持ちながら正確なソリューションを見通します。前のステップでも検討プロセスに注目しましたが、その段階ではまだ課題が元の状態で含まれていました。そのままだとマーケティングにおける障壁になってしまいます。したがって、顧客側を中心として障壁を除去することが重要です。このステップの重大な役割であり、成功するとプロセスが大きく前進することも期待できます。

障壁をチェック

検討プロセス単位で障壁をチェックしていきましょう。問題がないように思えても、細かな影響を与えるものもあります。少しも見逃さないという意識で、どれをクリアするのか決定しなければなりません。そうしてコンテンツを定めたら、いろいろな観点でチャネルも決めることになります。たとえば、セグメント領域を考慮することはとても大切です。トータルで最も相性が良いチャネルを割り出してください。そのときにリストを使用するのですが、どれを用いるのか検討しなければなりません。たいていの企業は自社で保管しているものを使いますが、もっと優れているリストを選択するケースもあります。潜在層をターゲットにするなど、具体的なことを決定することもこのステップです。もちろん露出場所の影響も受けるので、それによる変化も把握しなければなりません。

なお、これまでのステップと比べて、全体を通した意思決定を慎重に進める必要があります。なぜなら、企業ごとに人員や予算が違っており、その影響をかなり強く受けるからです。そういったリソースに依存していると表現しても過言ではありません。ですから、表面的な事象にとらわれず、全体を精査することがポイントになるでしょう。同時に届けるコンテンツを決めることも大事です。そのためにはアプローチする対象の決定も欠かせません。メッセージによって成果が変わるため、内容を十分に検証することも忘れないでください。該当する企業が多くても、その中に含まれる既存顧客について、検討プロセスをしっかり見ましょう。受注の完了に向けての課題も明確にすることが求められます。

貴重なデータをコンテンツにまとめる

いずれもコミュニケーションを営業と交わしながら進めるのが一般的です。ターゲットとなる人物に焦点を当て、その対象にとって貴重なデータをコンテンツにまとめましょう。これを一度実施しただけでは完ぺきな状態を維持できません。定期的に更新しながら解析していくことが必要になります。すなわち、少なくともこのステップまでは流動的な要素が大きいということです。コンテンツのパーソナライズを常に意識して取り組んだほうが良いでしょう。ここまでの流れを正常に終えると、ようやくチャネルを決定できる段階に移行します。接触に利用できるチャネルは多岐にわたります。しかし、得られる成果はそれぞれ異なるため、どれが良いのか吟味しなければなりません。意思決定をする人物など、キーパーソンの特性をしっかり把握してください。どのような媒体を日常的に利用しているのかチェックします。そのような情報を考慮したうえで、最終的に最適なチャネルを定めることになります。

なお、現代のチャネルというと通信関係を思い浮かべる人が多いでしょう。メールやWeb広告が代表的ですが、電話のような伝統的なツールもそこに含まれます。一方、電車のつり革広告といったアナログ的なツールも忘れてはいけません。あらゆる可能性も模索して、どれが最も適しているのか検証を繰り返すことになります。チャネルは集客用の経路であるため、それが不適切だと前後のステップが効果を高められません。サービスのクオリティを格段に上げたとしても、顧客に知ってもらえないと効果はないでしょう。そのため、ターゲットが属している業界を分析する作業も必要になります。キーパーソンの詳細なデータがあれば、実情に合ったチャネルの準備が用意です。しかし、たいていの場合はデータが不足しており、仮説に基づいて進めざるを得ません。後から情報を入手できた場合、このステップに戻って修正を行います。そのような反復によってABMの精度は少しずつ上昇しておくというわけです。

なお、前述の他にもチャネルにはさまざまなタイプがあります。テレビや新聞もそうですし、ECサイトのキャンペーンなども該当します。たいていの場合は1種類に絞らず、多角的に展開することが多いです。その中でも近年になって多用されているのが自社運用のメディアです。SNSなどからの流入も期待できますし、何より自社の都合で融通が利きやすいです。そのため、チャネルの中心に据えるケースが多くなりました。このようなトレンドについて把握しておくことも大事です。ただし経路だけでなく、時系列による変化を捉えることも重要になります。顧客が商品を購入する際、いろいろな行動を取ることになります。その仮定において感情が変わっていくことも一般的です。どのようなフローを経て商品の所有に至るのかよく考えましょう。そうすると商品を選定する基準も見えてきます。どれくらい満足しているのかチェックすることも欠かせません。もっと前の部分から追うと、商品を知った経緯が分かることもあります。この情報はチャネルの選定における有力な材料です。

また、キーパーソンが間違っていると、上記のフローの大部分が無駄になるので注意してください。誰が該当するのか正確に把握し、最適なチャネルでアプローチすることが前提となっています。チャネルを安易に決めた場合、キーパーソンの掘り下げが不足しがちです。どのようなニーズを持っているのか調べ、行動から思考パターンを検証することが望ましいです。

 

④目標設計について

ここまで進んだら、次はいよいよ目標設計のステップです。あいまいな目標を掲げても成果を測定できないので気を付けましょう。全体に対して、数値で目標を設定することからスタートしてください。そこから逆算する形でKPIを決めていくのが通常の流れです。この際、全体から各部門に広げていくと算出しやすくなります。マーケティングとしてMQLに着目し、その量や質を目標とする手法が一般的です。一方、接触する頻度が高いなら、アカウント群に含まれているリードを指すこともよくあります。なぜなら、最終的にインサイドセールスとの連携を視野に入れているからです。そちらに引き渡しやすい形にする場合、やはりアカウント群やリードを中心にするのが自然です。ただし、企業名などに誤りがあると、リードと見なされないので注意してください。つまり、特定の企業からリードを得ることが、ABMの成否に大きく関係しています。

リードを多く得られる手法

リードを多く得られる手法が2つあるので覚えておくと良いでしょう。1つ目はCPAを利用する方法で、多くのリードを低コストで入手できることが特徴です。その中からターゲットのリードを選び出すことになります。大きなセミナーやイベントに参加したり、展示会に出展したりするアクションが必要です。どれも伝統的な手段なので、実施の仕方で悩むような事態にはならないでしょう。定期的に行っていくことで、着実にリードを集められる点が大きなメリットです。複数を併用するとハイペースで収集できることも珍しくありません。ただし、他の企業も同じように実施しているため、出展場所の取り合いなどが発生するリスクはあります。2つ目は特定のターゲットだけを対象にする方法です。いわゆる狙い撃ちと呼ばれる施策であり、こちらも多くの種類が存在します。DMのようなアナログ的な手法から、データベースを用いたデジタル的な手法までさまざまです。近年はインターネットの発展により、テレマーケティングが主流となってきました。

基本的には上記の方法で進めて構いませんが、このステップでABMの導入を断念するケースもあります。なぜなら、目標を起点として逆算した結果、そもそもABMが不要という結論に至るケースもあるからです。ABMは素晴らしいものですが、必ずしも成果を上げられるわけではありません。企業によっては不要と見なす場合もあり、事業の形態にマッチしないこともあるのです。たとえば、ターゲットを絞れないようなビジネスだと、導入による効果は限定的になってしまいます。扱っている商品の単価が低い場合も同様なので、自社にとって本当に価値があるのか見極めなければなりません。大まかな目安は、限られたターゲットを相手にしており、商品の単価が高いことです。もちろん、他にも多くのパターンがありますが、この目安に該当する企業の割合が高いです。それに当てはまるなら、目標設計と照らし合わせて必要性を検証してみると良いでしょう。

ステップをスムーズに遂行しやすくなる3つのツール

MAツール

なお、目標設計を手作業のみで進めるのは困難な場合もあります。その場合はMAツールを利用すると負荷の軽減が可能です。これはマーケティングを自動化するツールであり、リードを獲得して育成するような機能も備えているのです。ABMのゴールの一つとして商談の実現が挙げられます。その相手となる顧客を育てるにあたり、顧客に最適なタイミングや方法で情報を提供します。この部分はMAツールを使用すると自動化できるため、マーケティングを大きく効率化できるでしょう。しかも、リードごとに満足度が高いコンテンツを付与できるようになります。

SFAツール

また、SFAも目標設計でよく利用されているツールです。こちらは営業パーソンを支援するためのものですが、それ以外の用途で重宝されることもよくあります。マーケティングと営業はセットなので、前者で利用されることも少なくありません。両部門の情報共有など、連携を強化できる機能が搭載されています。それに加えてデータを分析できるため、目標設計に役立つ情報も入手できるというわけです。ABMでは営業も非常に大切な役割を担当するため、SFAを早めに導入したほうが全体のパフォーマンス向上につながります。

CRMツール

さらに、CRMツールもこのステップで利用されています。顧客管理をサポートするツールですが、リードを一元管理できるという点が便利です。大量の顧客を抱えるようになると、その管理に費用がかかりやすく、ヒューマンエラーも混入しやすくなります。これらの問題を同時にクリアできることがCRMツールの強みです。顧客ごとにアプローチの方法を切り替えつつ、それぞれの満足度アップに結び付けられます。もちろんデータを分析に利用できるため、目標設定の精度を上げたい場合にうってつけです。

上記の3つのツールを使うこと、このステップをスムーズに遂行しやすくなります。とはいえ、成功させるために最も大切なのは、やはりキーパーソンをしっかり定めることです。そこにミスが潜んでいると、目標設計が大きく狂ってしまい、受注が想定よりかなり遅くなってしまいます。ですから、このステップを準備している段階で、キーパーソンが妥当か何度も検証したほうが良いでしょう。場合によっては、ステップ1で設定したペルソナから見直さなければなりません。そもそもリストを所有していないなら、それを作り上げることも並行する必要があります。

実施するキャンペーンを想定することも、信頼性の高い目標設計に関係します。エンゲージメントが高まらなければ、目標のベクトル自体にずれが生じているのです。次のステップを経てから修正することも可能ですが、実施前にしっかり調整しておくと手間を省けます。上記のMAツールはエンゲージメントの測定に利用しやすいです。キーパーソンと接触した回数の増加分などもチェックできます。もちろん、アカウント単位で新規顧客の増減も確認したほうが参考になるでしょう。このような総合的な観点で点数付けを行うことも目標設計の基本です。実施前に数値が明らかにおかしいと気付いた場合は、評価基準を再設定するなどの更新で柔軟に対応していきます。

 

⑤結果の分析・改善のサイクル

高い精度でABMを実施できる

このステップまでに問題がなければ、高い精度でABMを実施できる可能性があります。とはいえ、やはり1度の設定で万全の状態にすることは困難です。どのようなマーケティングの手法にもいえることですが、フィードバックを受けながら精度を高めていくのが一般的です。目標との誤差を計測して、それを小さくする方向に調整していきます。ABMもそれは同様であり、PDCAを積極的に回すことで実態に合った状態になっていきます。そういう意味では、ここまでのステップはすべてステップ4の準備といっても過言ではありません。ここから仮説と検証を反復することで実用的なレベルになります。言い換えると、最初は使い物にならないと感じても、次第に大きな成果を生み出すようになるのです。

それでは実際にキャンペーンを実施しましょう。ここまでに考案した戦略をベースに、ターゲットとなる企業に働きかけます。しかし、戦略がうまく通用しないことが多く、さまざまな点で不備が発覚するケースも少なくありません。単純に成果が出ないこともありますが、業務フローの誤りなどが分かる場合もあります。しかし、どれも想定内であるため、落ち着いてフィードバックの準備に入ってください。実施した結果をいつも確認して、効果のモニタリングを継続しましょう。特定のタイミングだけを見ても、本質的に悪影響がある点を割り出せないからです。ある程度のスパンで効果を測定して、実際に生じている異変を察知できるようになります。他のマーケティング手法でもPDCAを回すので、それらの経験者なら特に戸惑うことはないでしょう。

効果の種類

そこでポイントになるのが効果の種類です。前のステップで設定済みなので、それに着目しなければなりません。キャンペーン中の訪問者数と設定しているなら、正確な数値を測れるように工夫する必要があります。問い合わせの件数なども同様ですが、設定した種類によって測定の仕方が変わります。よって、すぐに測定できるように、種類ごとに準備を進めておくことが不可欠です。最初の取りこぼしによって、正しい結果が分からなくなるケースもあるのです。どの数値を用いれば、改善に向けた課題を発見できるのか考えましょう。とはいえ、いきなり見つけるのは困難だと感じるかもしれません。その場合はいったん前のステップに戻り、目標設計をやり直すという手もあります。マーケティングや営業など関連する部門全体において、納得できる評価基準を採用していることが大切です。

一方、評価基準は妥当でも結果を伴わないことがよくあります。その場合は、キーパーソンとうまく接触できていない可能性が高いです。決裁権を持っている人物にアプローチできていないなら、成果が上がらないのは当然といえます。したがって、その設定から見直してABMを抜本的に改善しなければなりません。特に営業に力を入れているなら尚更で、このまま続けると損失が膨らむ恐れがあります。検証の回数が多いことは、分析の観点からは喜ばしいことです。しかし、ビジネスである以上、常に費用が発生していることを忘れてはいけません。キーパーソンに関して問題がないなら、チャネルなどのを細かくチェックすることが重要です。

もちろんターゲットの状態も把握しなければなりませんが、メールの開封率といった数値的なデータの収集を重視しましょう。CV率なども同様ですが、やはり数値で比較できるほうがフィードバックに適しているからです。それ以外の部分に手を出すのは、検証できる数値のデータが尽きてからでも遅くありません。ターゲットなどを変更すると、それに連動する形でいろいろな部分に修正が必要になります。したがって、他の要素を検証し終えてから変える理にかなっています。キャンペーンごとに成果をチェックしたら、別の観点でもABMの精度を確認しましょう。そのときに注目が必要なのはターゲットの組織です。キーパーソンとの接触具合だけでなく、自社と関連する要素に変化がないか確かめます。販売する機会の増減などもABMで得られる効果であり、減少しているなら早期の改善が求められます。収益や取引の変動といった単純な指標も参考にしやすいです。

改善するポイントが見えてくる

このようにPDCAを回していけば、多かれ少なかれ改善するポイントが見えてきます。それを改善することで、自社のビジネスが健全な状態になることを期待できます。MAツールなどを利用していなら、パラメーターの調整だけで修正の大部分が済むこともあるでしょう。導入時に機能をチェックすることで、修正における手間をある程度は推察できます。そのような数値の変更だけで対応できない部分に関しては、新しい施策を打ち出さなければなりません。たとえば、インフルエンサーと協力して情報を発信するという手もあります。ポイントはターゲットが所属している業界の特性を十分に理解することです。そのうえでチャネルを少しずつ変化させると、どれが最も売上に結びつきやすいか分かります。

以前のターゲットに有効だったからといって、次のターゲットにも有効だとは限りません。同じ企業でも時期が違うだけで最適なチャネルが変わるケースもあります。したがって、数値の確認に加えて、企業研究も同時に進めることが必要です。複数の要因が原因で誤差が生じていることも十分にありえます。ただし、一気に調整しないように気を付けてください。どれが原因でずれていたのか分かりづらくなります。最も怪しいものから順番に1つずつ変更しましょう。個々に影響を測定したうえで、包括的に修正するという流れが基本です。

また、試験的にABMを実施しており、手ごたえを感じた場合は本格運用にシフトします。それと同時にプロジェクトチームを立ち上げることも多いです。営業とマーケティングはもちろんですし、他の部門からも関連するメンバーを集めます。このように組織を横断するような形で作ることが一般的です。メンバーの合意を得てから、ABMをどのように修正して展開するのか議論しましょう。

PDCAによって目標を切り替える場合は、長期的なゴールを定めておくと方針がぶれることを防げます。

高橋和人
高橋和人
Webメディア運営、MAツール運用など、インサイドセールス戦略の立案から実務まで幅広く担当してます。
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