ECサイト成功のカギは「リピート購入者」の獲得
ECサイトを成功させるカギを握るのは、新規顧客の獲得よりもリピート購入者の獲得にあるといえます。理由は新規顧客と比べて獲得コストが低いこと、そして利益を継続的に生み出すことが挙げられます。またリピート購入者になってもらうということは、同時にファンになってもらうことでもあります。つまり、根強いファンを作ることがリピート購入者の獲得に繋がり、更にECサイトの運営が安定する結果に至るわけです。大切なのはもう一度購入したいと思わせること、また買いたいと思えるような対応をすることがポイントになります。一度利用して満足、もしくはもう十分と思われてしまえば、ECサイトはリピート購入をしてくれるファンの獲得に失敗です。これではコストをかけて新規顧客を獲得しなければいけませんし、ECサイトの負担が大きくなり、逆に利益は減ってしまいます。利益を獲得するためのコストが大きくなるともいえるので、あまり望ましい状況ではないでしょう。
事業を行うにはコストが重要
ECサイトに限らず、事業を行うにはコストが重要で、コストを減らしつつ利益率を改善しなければいけないです。新規顧客の獲得ばかりだと、コストが大きい上に削減が難しいですから、リピート購入者の獲得は必須だといえるでしょう。リピート購入者の割合が増えて、新規顧客の割合が減っても利益が安定的にもたらされる状況こそが理想的です。積極的に新規顧客の獲得に走らなくても済むようになれば、ECサイトは成功したと判断できますし、後はリピート購入者を増やして経営を安定させるだけです。いずれにしても、新規顧客を増やす方針でのECサイト運営は、短期的には効果的でも長期的には疑問符がつきます。リピートしてくれる人を増やす方がより確実ですし、新規顧客よりも安定的に利益をもたらしてくれる可能性があります。そういうファンをいかにして獲得するかが、ECサイト成功のカギであって戦略を練るポイントとなるでしょう。どれほど優れたアーティストでも、ファンがいなければ活動を続けることはできないので、魅力を伝えて知ってもらうことが必要です。
新規顧客を増やす方向の効率が悪い理由
新規顧客を増やす方向の効率が悪い理由は、既存顧客をリピート購入者に育てるのと比べて、5倍ものコストがかかるといわれていることにあります。これはどちらが合理的かは一目瞭然ですし、新規を増やすばかりのやり方では長くは続かないことが分かります。勿論、運営を始めた最初期は新規を獲得したり増やさなければいけませんし、種を蒔く段階としてコストをかけ地道に取り組む必要があります。しかしそれは将来の継続的な利益の収穫のためで、種を蒔き育てて収穫をするサイクルに満足するためではないです。理想をいえば、一度蒔いて育った種が再び実をつける状況が生まれることで、ECサイトに利益だけでなく安定がもたらされるようになることです。そのカギを握っているのがまさにリピート購入者で、それをどのようにどうやって、どれだけ獲得できるかがECサイトの運営者に問われます。商品を安く提供することもファン獲得のポイントになるでしょうが、安さを追求するだけではいずれ限界を迎えます。そもそも利益を増やすためにコストを抑えるのが目的ですから、コストを自ら減らすような安さの追求は考えものです。
ECサイト成功のカギは購入のリピート
ECサイト成功のカギと、リピート購入者を増やす重要性を考えて浮かんでくるのは、安さ以外の方法で購入のリピートに繋げることです。ECサイトをどう評価するかは人それぞれ異なりますが、何でも一箇所で揃う品揃えの良さや、いつでも安心できるサポートの充実がファンを増やすことになるのは確かです。このように、利便性が良くてまた利用したいと思わせるアプローチこそが、2回目3回目の購入の機会を生み出し、リピート購入者の増加という結果に繋がるものと考えられます。価格が高くても売れるとしたらECサイトの運営者にとっては魅力的ですが、高くても売れる状況は不思議なものです。使えるお金が限られている人が殆どですし、安さを求めるのが消費者の行動として自然だからです。それでも安売りし過ぎず売れるようにするのがベストで、そのためのアプローチを考えて実行することこそが重要となります。消費者のニーズの多様化で画一的なアプローチでは不十分、市場が飽和して顧客の取り合いが発生している状況を考慮すると、顧客にあったアプローチでリピートしてもらうのが正解です。
いかに買ってもらえるようにするか、1回に多く購入してもらうかがリピート購入者を獲得するポイントで、購入の機会も増えるのが望ましいです。当然ですが、あまりしつこく購入を迫るといくらファンでも引いてしまいますから、引かれない程度に購買意欲を刺激して買いたくさせるべきです。顧客を分析してマーケティングに活かす方法を活用すれば、顧客にあった適切なアプローチというものが見えてきます。顧客との良好な関係の構築と維持がリピートを増やし、利益も発生することになりますから、関係に着目して現状を把握したり改善に繋げていくことが大事です。関わりを強めて簡単には緩まない関係を築くことができれば、ECサイトは安泰ですし、ファンもまた安心して利用し続けることができるでしょう。
リピート購入者を多く獲得しているECサイトは、根強いファンに囲まれているアーティストと同じで、継続的に購買をして利益がもたらされます。利益をもたらすファンは大切にしたいものですが、そう考えると顧客を大切にすることがファンを作り増やすことになるという結論に至ります。大切にするというのは商品を何でも安く提供することではなく、価格が高めでもこのECサイトを選び買って良かったと思ってもらう満足度を向上させることです。人は満足できればまた自然と利用したくなるものですし、再び満足する瞬間を味わいたいと考えて行動します。そのような満足を感じさせてファンを喜ばせることに、ECサイト成功のカギがあることになります。とはいえ、ポイントが分かっても実際にやるのは簡単ではないですし、指標や方法を知らなければ何もできないです。
試行錯誤で結果を求めるのには限界がありますから、少ない試行回数でも結果が得られるように、効果的な方法を知って実践することをおすすめします。
リピート購入者の獲得の指標「LTV」とは
LTV(ライフ・タイム・バリュー)とは
リピート購入者の獲得が大事ということは分かりますが、その指標となるLTVもまた重要で、LTVを知ることが求められます。LTVはライフ・タイム・バリューの頭文字で、日本語には顧客生涯価値と訳されます。それは顧客1人あたりが一生涯にどれほどの利益を生み出し、もたらすかを意味します。LTVは、継続的に提供されるサービスや定期購入の商品に有効な指標で、マーケティングの分野で幅広く活用されています。新規顧客を獲得すれば利益は生まれますが、獲得して増やすのが難しい状況においては、LTVの向上が利益の発生と増加に繋がります。事業を拡大したり、ECサイトの運営を安定させるのにもLTVは重要ですし、顧客との関係を改善したり、良好な関係を築いて保つのにも大事です。LTVを重視すれば利益がついてきますが、そこにはリピート購入者の獲得、増加というプロセスが生まれることになります。つまりLTVを向上させる施策に取り組むと、リピート購入者が誕生したり増えることになるわけです。
新規顧客は競合との取り合いになりますし、コストをかけないと獲得するのが難しいので、現在は新規開拓の重要性が低下しています。勿論全くしなくても良いというわけではありませんが、今は既存顧客を囲い込み、リピート購入者にすることの方が重視されます。その施策には様々なものが存在しますが、一度購入した商品と関連する商品を紹介したり、よりグレードの高いものを勧めるといったやり方があります。これらは客単価が上げられるのが共通点で、LTVが高まることに他ならないです。あれもこれもただ勧めるだけでは買ってもらえませんが、興味を刺激する関連性の高い商品、ワンランク上のグレード違いを紹介するのは効果的だと思われます。LTVを上げようとすれば、このような工夫で既存顧客にアプローチする必要があることが理解できます。価格設定を高くして売ろうとしても売れませんし、それでは購買意欲が削がれて顧客は離れ、LTVが低下してしまうでしょう。価格が高くてもどうすれば売れるか、それを研究して実践することが大切で、そのカギを握るのがLTVだといえます。
LTVはECサイトだけでなく、企業やブランド単位でも用いられる指標で、取引関係が生まれてから終了するまでの間、つまり顧客ライフサイクルの中で活用されます。顧客との良好な関係がこの指標にかなり影響する要素で、関係性を軽視したり良好に保つ施策をしなければ、LTVは一向に上がらないです。マーケティングの分野では、ロイヤルティーが高い顧客はLTVも高いといわれているので、2つの要素を結びつけて考える必要がありそうです。昨今のLTV重視の傾向はやはり、新規顧客を獲得するハードルが上がり、既存顧客の囲い込みとリピート購入者の獲得の重要性が増したことが理由として大きいです。LTVは顧客単位で時間と利益を定量化して扱い、既存顧客との関係を維持したり、リピート購入者を増やすための指標として活用されるようになったわけです。マーケティング戦略の判断材料になりますから、役立つ指標は活用するべきですし、算出する方法や向上させるやり方を知って損はないでしょう。
LTVの重要性
LTVは顧客生涯価値を意味するので、初回の購買だけでなく2回目、3回目と回数が増えるごとに重要性が増していきます。単発の購入をする顧客にはあまり重要ではない指標ですが、リピート購入者を獲得して利益を追求するとなると話は違ってきます。リピート回数が増えるとLTVの重要性が高まり、戦略や施策に指標を取り入れる必要性が出てきます。新規開拓とリピート購入者の獲得は違うものですが、それは施策もそうですし参考にする指標にもあてはまることです。LTVという指標を活用することで、需要を喚起して顧客獲得を図るのが難しい新規ではなく、既存顧客をファンとして定着させ、継続的な利益を生んでもらえるようになります。何の指標も持たずに戦略を立てるのは無謀ですし、マーケティングの成功率は上がらないことになるので、まずは指標を決めて参考にしながら計画を立てたり実行に移すべきです。既存顧客を満足させてリピート購入に繋がるようにすれば、利益は自ずとついてきますし、ECサイトの運営も安定することになるでしょう。
これまでは商品を市場に投入するだけで売れていたので、企業は魅力的な商品作りに徹し、ECサイトはそれを並べて販売をすれば良かったわけですが、現在は状況が異なります。顧客のニーズは多様化する一方ですし、誰でもネットで情報を確認して購買を検討できるようになったので、単純に売りたい商品を売り込むというやり方では不十分で結果も出ないです。多様なニーズに応える品揃えやサービスを拡充しつつ、検討期間を短くする施策が必要になっているといえるでしょう。これらの施策が効果を発揮しているかどうかは、指標を用いて定期的に評価することで判断可能です。効果的な施策ができていればLTVが上がりますから、顧客に対するアプローチは間違っておらず、同じやり方を続ければ良いということが分かります。
LTVにはコストを含む算出方法もあるので、利益だけでなくかけているコストが適切かどうか判断する材料にもなります。顧客との関係を維持したり、リピート購入を促進するコストと言い換えることもできるので、そのコストの判断に繋がる指標は重要です。コストをかけないと顧客関係が維持できない、リピート購入が発生しないとなれば、ECサイトの運営は不安定で危ういことになります。反対に、コストを抑える施策とリピート購入者を獲得する施策に取り組みLTVが下がらないなら、利益率が高まりECサイトの運営は安定的だと評価できます。このようにLTVは顧客単位の単純な指標ではなく、ECサイト運営におけるコストも含めて評価できる指標ということが理解できます。指標には客単価だったり購入頻度、期間などの要素が含まれるので、期間内にどれだけの頻度でいくら購入して利益をもたらしているかも分かります。取引の開始から時間が経過するに連れてLTVが下がる顧客が多いと、利益が減ってECサイトの運営に支障をきたしますから、上げることを目標に少なくとも維持することが大切です。
LTVの計算法
LTVの計算にはいくつかのやり方がありますが、平均顧客単価と平均購買頻度、平均継続期間を掛ける計算法が代表的です。この計算法はLTVの平均値を算出するのに有効で、いずれの項目にも平均を用いるのがポイントとなります。日常的に利用が行われるECサイトでは、1回あたりの顧客単価は様々ですが、高頻度で利用する人には顧客単価が低めの傾向が見られます。つまり、少額の買い物を頻繁に行っている傾向といえるので、LTVの計算式は例えば3千円x12回x5年のようになります。この例で分かるのは、平均顧客単価が3千円で平均購買頻度は年12回、平均継続期間が5年ということです。利用頻度が低くて逆に1回あたりの顧客単価が高めのECサイトだと、計算式は1万円x4回x5年といった感じになるでしょう。1回あたり平均1万円の買い物を年4回、5年間続けていることが分かります。LTVの計算結果は前者が18万円、後者が20万円となるので、後者の方が顧客生涯価値が高いです。
収益率を加える計算式
単価と頻度、期間の平均を用いる計算法では分かることに限りがありますが、収益率を加える計算式を使えばLTVから他のことが見えてきます。年間取引額に収益率と継続年数を掛ける計算法は、顧客が上げる利益を算出して導き出すことができる方法となります。収益率を計算に加えるので、予め計算しておく必要がありますが、計算式は簡単ですしシンプルなので難しくはないです。この計算法も顧客単位で用いてLTVを算出するのに使うものですから、生涯価値が知りたい顧客にフォーカスを合わせて、年間取引額を確認することから始めます。1年間に15万円の取引をしていて、収益率が80%、継続年数が5年だとすれば、結果は60万円となります。同様に20万円の取引を収益率60%で10年継続している人がいれば120万円なので、収益率が低くてもこちらの方が顧客生涯価値が高いことが分かります。このように収益率を含むLTVを用いると、収益率が高くても顧客生涯価値が高いとは限らないことが理解できます。
新規の獲得や既存顧客の維持に必要なコストを含めてLTVを算出したいなら、このような計算式になるでしょう。平均購買単価と購買頻度、継続購買期間を掛けたものから、新規獲得費用と顧客維持費用を足したものを引く形です。平均購買単価が5千円の顧客を考えてみると、購買頻度が年に15回だとして継続購買期間が10年だとすれば、計算結果は75万円です。一方、新規獲得費用が1万円、顧客維持費用が2万円と考えると、差し引く金額は3万円となります。最終的には75万円から3万円を差し引いて、72万円という数字が残ります。この72万円がLTVであって顧客生涯価値ですが、1人の顧客のLTVのみを算出しても、高いか安いかは分からないです。分かるのはどれだけの利益が出ているか、利益を出すためにどれだけのコストがかけられているかです。コストが高いか安いか知りたい場合は、複数の顧客の生涯価値を比較する必要があるでしょう。
利益に継続購入期間と割引率を掛ける計算式
LTVの計算法には他にも、利益に継続購入期間と割引率を掛ける計算式があります。ベースが利益に継続購入期間と分かりやすいですが、割引率が掛けられるので、継続購入期間を掛けた利益に対して手元にどれだけ残るかが明らかになります。利益は出ているのにLTVが低いとなれば、割引率が高過ぎる可能性がありますから、割引率を見直す必要性が出てくるでしょう。ただ、割引率を下げることで利益が下がるようなら考えものですし、割引率を下げる前よりもLTVが下がってしまったら、その見直しは間違いです。こういった形で割引率の見直しに役立つ指標となるので、割引で顧客を獲得したりリピート購入者を増やしているなら、この計算法を用いるLTVを活用するのがおすすめです。計算の基本的な部分がシンプルなので、コストは見えてきませんし、この指標だけで施策を考えるのは難しいですが、しかし割引の施策においては有効な指標となるはずです。言うまでもありませんが、割引をせずに利益に継続購入期間を掛ければ、その数字がそのまま利益となります。
売上から売上原価を引いて顧客数で割る方法
LTVにはもう1つ、売上から売上原価を引いて顧客数で割るやり方も存在します。売上を計算に用いて顧客の数で割るという、こちらもシンプルな計算式で簡単に活用することができます。最初に原価を差し引いた売上の数字が残るので、これをどう調理するかがこの計算法の腕の見せ所となります。応えは顧客数で割るだけという単純なものですが、顧客1人あたりがもたらす利益が分かるスマートなやり方なのは確かです。顧客全体の平均的な利益も見えてきますから、施策の前後でこの計算法で計算してLTVを算出すれば、施策によって利益がどう変化したかが捉えられます。LTVは変化を見えるようにしてくれる指標なので、こういう使い方に適していますし、ECサイトのマーケティング施策にも活かすことができるでしょう。売上を増やして原価を下げるか顧客の数を増やせば数字は改善しますから、計算結果も改善方法も分かりやすいです。
計算法が複数あることからも、LTVは計算に用いる変数によって結果も変わり、活用方法も変化する指標ということになります。顧客生涯価値という意味自体は変わりませんし、同じ計算法で複数の顧客の算出をすれば、相対的に比較する指標に使えます。LTVで利益を多くもたらす顧客とそうでない顧客が分かればランク分けができますし、ランクごとにマーケティングをすることが可能です。これは優劣をつけて対応するのではなく、優先順位によって優先的に関係を維持すべき相手にアプローチしたり、それぞれに適した施策を行うことが重要という意味です。顧客は利益をもたらしてくれる存在で等しく重要ですが、ECサイト運営のリソースは限られているので、優先順位をつけて対応をする必要があるのは当然です。LTVがまさに重要性を教えてくれますから、計算法で指標となる数字を算出して、それをどう活かすかを考えて活用するのが望ましいでしょう。計算法によってあらわれる数字は違えど、現状を示し状況を変えるヒントになるのは間違いないので、ECサイトの運営に活かしたいものです。
LTVの上げる3つの方法
1.顧客の購入単価を改善すること
LTVを上げるにはまず、顧客の購入単価を改善することが基本となります。購入単価が上がればLTVも自ずと上昇しますから、この単価を上げることを軸にマーケティング戦略を練りたいところです。平均顧客単価に平均購買頻度と平均継続期間を計算に用いるLTVは、いずれかの数字を増やすことができれば上がります。つまり購買頻度を上げてもらうか、継続期間を長くしてもらう、そして購入単価を上げてもらうことのどれかとなります。購入単価を上げて増やす方法には、商品やサービスの価格を見直し単価を上げたり、クロスセルやアップセルといった方法があります。商品やサービスの価格を見直すやり方にはリスクがありますが、購買頻度が下がらない限りは利益が発生しますし、LTVが上がる結果となるでしょう。価格の改定は顧客全体に影響が及びますから、計算法の購入単価以外の要素に変化が見られなければ、LTVは大きく上昇することになり得ます。
商品、サービスの価格を上げる方法は、顧客離れのリスクを内包するので、極端な値上げは控えた方が良さそうです。顧客は納得すれば価格改定に同意しますが、説得力を感じさせる理由がなければECサイトの利用を見直したり、購入を控えるようになります。顧客離れが発生しては、リピート購入者を獲得する目的が達成できなくなるので、本末転倒の結果にならないように注意です。最初は影響が小さかったり殆どみられないとしても、長期的には購買頻度に響いてくる可能性があります。価格の見直しで顧客の購入単価を上げる施策を実施するなら、同時に顧客離れを防ぐ施策にも取り組むべきでしょう。折角獲得したリピート購入者も、逃してしまっては意味がないので、逃さず関係を維持することを前提にLTVを上げる方法を検討した方が良いです。価格を上げても離れる心配がなくてむしろ利益をもたらし続けてくれる、そんな都合の良い顧客はそういませんから、安易に値上げという方策を講じないのが無難です。比較的リスクが小さいのは、関連性の高い商品も買ってもらうクロスセル、付加価値の高いワンランク以上上の商品、サービスを購入してもらうアップセルです。
2.購入頻度を上げてもらう
単価と頻度、期間で数字が上がるLTVは、購入頻度を上げてもらうことでも数字の改善が見られます。新規顧客の獲得が難しい状況でも、既存顧客にリピート回数を増やしてもらえば、利益が増えてLTVも上昇します。これは、物価上昇などで価格の改定が難しい状況においても、利益を確保するのに役立つ方法です。具体的には定期的に情報を発信するなどして顧客の気を引き、継続的な関係性を保つのが有効となります。メールマガジンにしてもDMにしても、利用しているECサイトからアクションがあれば、顧客は自分のことを見てくれていると感じます。そして届いた情報に目を通しますし、興味を引く内容があれば購買意欲が高まるでしょう。的確な情報を的確なタイミングで発信することが不可欠ですが、上手くはまれば購入の後押しになります。例えば、消耗品が発生する商品を購入した履歴がある顧客に対して、そろそろ購入というタイミングで情報を発信する方法が挙げられます。定期的に購入している商品も同様に、リピート購入してもらうアプローチになります。
購入頻度を上げる方法でLTVの改善を図るには、囲い込みによるアプローチも検討する必要があります。会員制のECサイトであれば、会員向けにログインを促すメッセージを送ったり、クーポンやキャンペーンなどのお得な情報もLTVを上げる方策となります。頻繁にパスワードの再設定を求めたり、お得な情報といえども高頻度で発信するのは逆効果ですが、基本的にこれらは購買を促すのに有効です。会員制といえばポイント制度が代表的ですが、これも有効期限を設定して期限切れが迫っていることを伝えたり、獲得率が上がるキャンペーンの情報を発信すると効果的です。獲得ポイント数や購入頻度に合わせてランクが上がるようにすれば、継続的な利用を考えている顧客の購入頻度が更に上ることに期待できます。企業やサイトに愛着を感じる、いわゆるロイヤルカスタマーに対して有効ですから、根強いファンに特別感を感じさせる方法で効果的な囲い込みをしたいところです。
3.利益を改善しつつコスト削減にも取り組む
利益を追求してもコストが高いままではLTVは上手く上がらないので、利益を改善しつつコスト削減にも取り組むべきです。コストというのは新規開拓に要するものもそうですが、もともと新規顧客獲得のコストは大きいので、削減をするにも限界があります。LTVを上げることにおいては、新規開拓よりも既存顧客を維持するコストを見直して削減することが必要です。既存顧客を掴んで離さないために大きなコストが発生しているとなると、いくら他の部分でLTVを上げようとしても難しいです。この維持コストを削減することができれば、LTVも自然に改善していくことになります。リソースは有限で物事には優先順位がありますから、優先順位の低いところから見直しを図り、コストが削減できないか検討しましょう。そうすることで無駄が見えてきますし、削減しても悪影響がないばかりかコストが改善され、LTVも改善することになるはずです。
どこにコストをかけているかにもよりますが、メールマガジンを配信していて作成に無視できないコストがかかっているなら、効果と天秤にかけて見直しを要検討です。効果が出ていてもコストがかかり過ぎているのであれば、削れるところを探して削る必要があるでしょう。配信の頻度を減らしてその分質に磨きをかければ、コストを抑えつつ効果のアップが見込めます。DMもやはりコストがかかりますし、紙の印刷物はかなりの負担となります。カラー印刷でしかも部数が多くなれば、ECサイト運営におけるコストのかなりの部分を占めることになり得ます。印刷物も部数を減らしたり配信の頻度を下げることで、負担が減ってLTVが改善していきます。思い切って紙を廃止したり、メールによるDMに切り替えるのも選択肢です。一方ではサポート体制の見直しもコストの削減、ひいてはLTVを上げるのに有効ですから、こちらも要見直しです。
LTV向上に欠かせない3つのツール
1.CRM
LTV向上に欠かすことができないツールの1つは、顧客関係管理を扱うCRMです。CRMは既存顧客との関係を管理したり、分析してマーケティングに活かすツールです。顧客情報を蓄積したり、購買履歴や問い合わせの内容なども一元管理することができます。クーポンの取得やキャンペーンの参加、イベントの参加などの履歴も残して活用できるようになっています。獲得した情報から顧客を分析して施策に活かせるので、LTV向上になくてはならないツールの1つです。顧客の基本情報に加えて、属性などの関連情報が蓄積できますから、最適なアプローチ方法を導き出すことが可能です。会員サービスに役立つ機能も揃っていますし、カスタマーサービス機能も備えているので、CRMは総合的に役立てることができます。CRMの会員サービス機能では、取得したクーポンから興味を持っている商品を割り出したり、ポイントの利用から次の購入の予測が立てられます。そうした購買行動を分析してアプローチのヒントが得られますから、顧客に魅力的と思われる情報を届けたり、お得な情報を発信して気を引けます。
CRMを活用すると、ECサイトの訪問率が改善したり、購入頻度や定期購入の改善にも期待が持てます。年間の利用頻度も上げられますし、購入単価の向上も図ることができるので、LTV向上にCRMを活用しない手はないです。ECサイト以外にもチャネルを運用しているのであれば、CRMの導入や活用の価値は更に高まります。購買を含む行動からターゲットの属性が見えてきますし、ニーズを汲み取りアプローチするチャンスが生まれます。ポイントやランク制度を取り入れる会員サービスを提供しているなら、顧客を点数でスコア化して、よりターゲットに的を絞ったマーケティングが実現します。問い合わせに対しても、CRMがあれば過去の購買履歴などを参照しながら、的確な対応をすることができます。顧客が求める問い合わせ対応の満足度は、LTVを向上させる大事な要素なので、CRMの活用で満足度を高める施策を行いたいものです。
2.IVR
LTVにはIVRというツールも欠かせませんが、実はLTV向上のカギを握ると言っても過言ではないです。IVRは自動音声応答システムのことで、主にコールセンターで導入されている定番のシステムです。コールセンターによっては、問い合わせてオペレーターに繋がる前に、機械による音声ガイダンスが再生されます。用件に合わせてボタンを押すように指示が行われるのも、この音声ガイダンスのIVRの機能の1つです。IVRが導入される理由は業務の効率化で、問い合わせをスムーズにしたり、オペレーターの負担を減らすことを目的としています。IVRによって顧客は話ができるオペレーターに繋がりますし、特定のオペレーターに電話が集中して繋がらないといった事態が避けられます。時間を置いて電話をかけ直してもらう必要がなくなり、待たせてしまうことがありませんから、IVRを活用するとコールセンターの満足度が上がります。問い合わせ対応の良し悪しはかなりLTVに響くので、コールセンターが人手不足に陥っていたり、十分な対応ができていないと感じたら導入を検討しましょう。
IVRに搭載されているのは、ガイダンスによる音声自動応答機能の他に、コールをオペレーターに自動で振り分ける機能やスキルベースルーティングなどがあります。スキルベースルーティングは、問い合わせ内容に合わせてボタンを押してもらうことで、最適な対応ができるオペレーターに自動で繋がる仕組みです。ECサイトであれば、商品の購入方法や支払い方法、購入前の商品に関する相談や購入後の問い合わせなどで振り分けることができます。IVRには混雑時に電話をかけ直してもらう放棄呼対策、オペレーターに繋がらない状況で自動的にコールバック予約を受ける機能も備わります。オペレーター向けにはコールが転送される際に内容が伝えられるウィスパリング機能、会話の内容を録音する機能もあります。他にも時間や曜日でガイダンスの内容を変えるタイマー、自動音声を聞いて答えてもらうアンケート、それから外部システムとの連携機能も定番です。
3.CTI
CTIはCRMとIVRを連携させるシステムで、電話と交換機のPBXやコンピュータを連携させ、業務効率化を図ることができる仕組みです。CTIでこれらのシステムを連携させると、受電が発生した場合にパソコンの画面に自動で電話番号などが表示されます。受発信がパソコンでできるようになるので、受話器を片手に相手の音声に耳を傾けて集中してやり取りをする必要がなくなります。ヘッドセットを装着して画面を見ながら対応しているオペレーターのイメージはまさに、このCTIを導入しているコールセンターのものです。CTIの基本的な使い方だと、メリットはオペレーターの業務効率化に留まりますが、CRMと連携させることでLTVの向上に繋がる対応が可能となります。電話番号だけでなく、顧客に関する基本情報や属性情報も画面に表示されるので、過去の問い合わせ履歴などを見ながら対応することができます。
CTIはこれまでオンプレミスで導入のコスト、ハードルが高めでしたが、近年はクラウド型が誕生して普及しています。クラウド型なら初期投資を抑えることができますし、知識が乏しかったり機器を揃える予算がなくても、導入を諦めずに済みます。CTIを使った経験がない場合でも、クラウド型ならとりあえず導入して運用を始められますし、コールセンターの業務を改善するのに役立てられます。クラウド型の魅力は納期が早く、一方では保守の手間やコストがかからず、故障などのリスクに怯えなくても良いことです。ネット回線経由でサービスにアクセスしてCTIの機能を使う仕組みなので、必要なのは回線とパソコンくらいです。セキュリティ対策が万全かどうか、サービスを選定する際にはその辺りの確認が欠かせませんが、実績のある大手ならまず安心です。コストを抑えて業務効率の改善を図ることができれば、オペレーターの対応の品質が良くなるので、結果としてLTVも改善することになります。
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