ペルソナ(典型的なユーザー像)を設定する
カスタマージャーニーマップとは、顧客の購買プロセスを旅になぞらえて、顧客の行動・思考・感情を時系列に並べたカスタマージャーニーを可視化したもののことです。
現在、あらゆる情報やプラットフォームのデジタル化が進んでいますが、それに伴って顧客の購買プロセスは複雑化しています。
しかし、”カスタマージャーニーマップ“を作成すると顧客の購買プロセスが可視化されるので、顧客とのタッチポイントが明確になり、顧客に対して適切なタイミングで適切なアプローチをすることが可能です。
加えて、企業目線ではなく顧客目線でのマーケティング施策につなげられるとともに、顧客の購買プロセスをチーム全体で共有できるため精度が高いマーケティング施策をスピーディーに立案することも可能となります。
以上がカスタマージャーニーマップを作成する代表的なメリットとなりますが、その作成手順は大きく4ステップに分けられます。
ベースとなるペルソナの設定
最初のステップは、カスタマージャーニーマップのベースとなるペルソナの設定です。
ペルソナとは、ペルソナ&カスタマ・エクスペリエンス学会によると”「企業が提供する製品・サービスによって最も重要で象徴的な顧客モデル」“のことを指します。
つまり、簡単に言うと典型的なユーザー像のことを意味していますが、通常のマーケティング活動で行われるターゲティングよりも具体的な人物像を描き出すのがペルソナ設定の特徴です。
一般的なマーケティング活動では、デモグラフィック属性・サイコグラフィック属性・ビヘイビア属性などの軸で顧客を分類し、その中からターゲティングを行うのが一般的です。
デモグラフィック属性とは、個人であれば年齢や性別など、企業であれば業種や業態、売上規模などの人口統計学的属性のことを指します。
サイコグラフィック属性とは、趣味・価値観・習慣・嗜好などの心理学的属性のことです。
ビヘイビア属性とは、利用頻度・利用目的・利用日時・購入商品・購入金額・閲覧ページなどの行動学的属性のことを指します。
例えば、BtoBビジネスにおけるターゲティングでは、「売上が1000億以上の製造業に勤める部長格以上の意思決定者」といった設定を行うのが基本です。
これに対し、ペルソナ設定では「売上が1000億以上のグローバル製造業に勤める45歳の男性、マネジメントスキルを評価されて途中入社し、様々な開発プロジェクトを統括してきた経歴がある。
東京都世田谷区のマンションに3歳年下の妻と13歳・10歳の子供の4人で暮らしている。
年収は1000万円で休日は趣味のゴルフを楽しんでいる。」といったように具体的な人物像を設定します。
一般的なマーケティング活動で行われるターゲティングでもカスタマージャーニーマップを作成することが可能ですが、より具体的な人物像を描き出すペルソナを設定した方が、その後のマーケティング施策の精度を高めることが可能です。
顧客のグループ分け
また、ペルソナを設定する際は、まず保有している顧客情報からターゲットになる可能性がある顧客をいくつかのグループに分けます。
いわゆるセグメンテーションのステップとなりますが、顧客のグループ分けが完了したらペルソナを作成するグループを決定しましょう。
全てのグループに対してペルソナを設定し、カスタマージャーニーマップを作成するのが理想ではありますが、全ての顧客グループに対してカスタマージャーニーマップを作成するにはコストがかかります。
企業によっては10~20のペルソナを設定するケースもありますが、資金や人手などのリソースに余裕がないのであれば、まずは特出した顧客グループに対するペルソナを作成するのがおすすめです。
特出した顧客グループが見当たらない場合は、その中でも優先順位を付けて、数人ほどのペルソナを作成すると良いでしょう。
“ペルソナを作成する顧客グループを決定したら、作成のベースとなる情報を収集します。“
データはアクセス解析・購買履歴・一般公開されている調査結果などから収集しますが、営業担当者やカスタマーサポートの担当者など顧客と接する機会が多い方の意見も取り入れて、可能な限り多角的な情報を集めることが大切です。
ペルソナの明文化とストーリー形式
次に、いよいよペルソナ設定のステップとなりますが、具体的には”氏名・年齢・勤務先(業種・売上高・従業員数・部署・役職)・居住地・家族構成“といった項目を可能な限り明文化します。
また、予算権限の有無や製品やサービスを利用する際の役割といった仕事上の情報や、情報収集の際によく利用するメディアも設定しておくと良いでしょう。
加えて、抱えている課題や何を希望しているのかといったペルソナの状況をストーリー形式で作成していくとともに、長期的な目標と短期的な目標を定めておく必要があります。
ペルソナの作成で設定すべき項目は状況によって異なりますが、いずれにしても具体的に思い描ける人物像を設定していくことが大切です。
ターゲットの顧客像の設定
以上がペルソナ設定の基本となりますが、ペルソナはカスタマージャーニーマップ作成のベースとなるので、しっかりと作り込んでおく必要があります。
上手く設定することができれば、カスタマージャーニーマップの作成はスムーズに進みますし、効果的なマーケティング施策に落とし込むことが可能となります。
なお、ペルソナを作成するにあたって最も注意すべきなのは、”都合の良い人物像”を作り上げないことです。
ペルソナを作成していると、ついつい自社にとって都合が良い人物像を描き出しがちですが、ペルソナの設定で最も重要なのはメインターゲットとなる典型的な顧客像を設定することです。
客観的なデータを見ずに妄想で作り上げたペルソナは、作成したカスタマージャーニーマップでも都合よく動いてくれます。
しかし、妄想で作成したペルソナは実際の顧客層とは大きく異なる可能性が高いため、妄想で作り上げたペルソナをベースに作成したカスタマージャーニーマップをマーケティング施策に落とし込んで実践しても、思ったような効果は得られないでしょう。
そのため、アクセス解析や購買履歴といった客観的なデータに裏付けされた人物像をペルソナに設定することが大切です。
ペルソナの行動を細分化する
横軸と縦軸の作成
ペルソナの設定が完了したら、いよいよカスタマージャーニーマップの作成に移りますが、その際はまずフレーム(横軸と縦軸)の設定を行っていきます。
カスタマージャーニーマップの横軸設定では、顧客の購買プロセスをいくつかのフェーズに区分して、時系列で整理していきます。
BtoCビジネスにおける購買プロセスは、「認知」「興味・関心」「情報収集」「比較・検討」「購入」「評価」「リピート」といったフェーズに区分することが可能です。
BtoBビジネスの購買プロセスは、BtoCビジネスの購買プロセスに加えて、「稟議・決裁」や「購入後のアフターフォロー」といったフェーズも考慮する必要があります。
ただし、カスタマージャーニーマップの作成目的や事業内容によって、設定すべきフェーズは異なります。
例えば、「比較・検討」は「競合他社との比較」「プランの検討」「価格の検討」といったように細かく区分することができるので、必要に応じて追加したり削除したりしましょう。
また、カスタマージャーニーマップの縦軸には、主に「行動」「タッチポイント」「思考」「感情」「課題」といった項目を設定します。
行動はペルソナが実際に取るアクション、タッチポイントはペルソナと接触する場所やツール、思考はアクションを起こした際にペルソナが考えること、感情は行動した際にペルソナが感じること、課題はアクション後にペルソナが抱いた不満や不足点のことを意味しています。
縦軸に関しても、横軸同様にカスタマージャーニーマップの作成目的などによって設定すべき項目が異なるので、臨機応変に対応しましょう。
ペルソナの行動の細分化と分類
カスタマージャーニーマップのフレーム設定が完了したら、ペルソナの行動を細分化していきます。
マップの横軸に設定した各フェーズごとに、ペルソナが取る可能性がある行動を可能な限り洗い出した上で整理していきますが、横軸を設定する前にペルソナの行動を洗い出してから、それらを分類することでフェーズを区分していくという方法もあります。
もし、購買プロセスの区分が難しい場合は、先にペルソナの行動を洗い出すステップから始めるのがおすすめですが、フェーズの設定とペルソナ行動の洗い出しのどちらを先に行うとしても、ペルソナの行動を洗い出す際は最初にスタートとゴールに該当する行動を明確にしましょう。
例えば、スタートとなる行動としては「SNSで見た」「テレビで取り上げられていた」「好きな芸能人が利用した」など、ゴールとなる行動としては「実際に購入した」「継続的に購入する」などが挙げられます。
スタートとゴールの行動を明確にしたら、スタートからゴールに至るまでにペルソナが取る可能性がある行動を洗い出していきます。
例えば、自社の商品やサービスを知ったペルソナは、”「友人との情報交換を行う」””「検索エンジンでの情報を収集する」””「自社商品ページにアクセスする」”「ECサイトで競合他社の商品を閲覧する」“といった行動を起こす可能性があるでしょう。
また、購入後については”「ECサイトでレビューを書く」””「SNSに投稿する」””「他の自社商品の購入を検討する」“といったアクションが考えられます。
ペルソナの行動は可能な限り多く書き出すのがポイントですが、ある程度洗い出しが完了したら、一度フェーズごとに分類して整理しておくのがおすすめです。
定期的に整理を行っておくことで、重複を防止することができますし、新たなフェーズや行動の発見につながる可能性もあります。
また、ペルソナの行動は想像だけで設定すると、現実との間にズレが生じる恐れがあります。
そのため、カスタマージャーニーマップを作成する際は、ユーザーインタビュー・アクセス解析・問い合わせ内容といった情報を収集しておき、それらを参考にしながらペルソナの行動を設定していくと良いでしょう。
購買行動モデル
なお、顧客の購買プロセスを区分する際は、購買行動モデルを参考にするのもおすすめです。
購買行動モデルにも様々な種類がありますが、代表的なモデルとしては、AIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)・AISCEAS(アイシーズ)・VISAS(ヴィサス)・SIPS(シップス)・DECAX(デキャックス)などが挙げられます。
AIDMAは、マスメディア時代の代表的な購買行動モデルです。Attention(認知)・Interest(関心)・Desire(欲求)・Memory(記憶)・Action(行動)の5つのステップで構成されており、日本において長期間にわたって使用され続けています。
AISASは、2005年に電通が提唱したインターネット時代の購買行動モデルです。Attention(認知)・Interest(関心)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)で構成されており、検索や共有が含まれているという特徴があります。
AISCEASは、AISASよりも購買プロセスが細かく分類されたモデルで、Attention(認知)・Interest(関心)・Search(検索)・Comparison(比較)・Examination(検討)・Action(行動)・Share(共有)で構成されてます。AISASにはない比較・検討の段階が考慮されているのが大きな特徴です。
VISASは、SNS時代の購買行動モデルのひとつで、Viral(口コミ)・Influence(影響)・Sympathy(共感)・Action(行動)・Share(共有)の5つのステップで構成されています。
SIPSも、SNS時代の購買行動モデルです。
Sympathize(共感)・Identify(確認)・Participate(参加)・Share&Spread(シェア&拡散)で構成されており、SNSを使って情報の拡散を行うユーザーの行動が重視されています。
DECAXは、コンテンツマーケティング時代の購買行動モデルで、Discovery(発見)・Engage(関係構築)・Check(確認)・Action(行動)・Experience(体験と経験)で構成されています。
これらの購買行動モデルを参考にすれば、カスタマージャーニーマップにおける横軸をスムーズに設定できるでしょう。
ステージごとに、ペルソナの心理を想定する
ペルソナの思考や感情の整理
ペルソナ行動の細分化が完了したら、次にフェーズ(ステージ)ごとにペルソナ心理を想定して、整理していきましょう。
カスタマージャーニーマップの縦軸に、思考と感情という項目を設定した場合は、それぞれについて考慮していきます。
例えば、「ファッションアイテムを購入する」というカスタマージャーニーを作成するにあたり、スタートの行動が「SNSで好きなインフルエンサーが着用しているのを偶然発見した」という場合、そこで想定される心理としては「かわいい」「かっこいい」「欲しい」といったものが考えられます。また、「情報収集」や「比較・検討」のフェーズでの心理としては、「どんな素材で着心地はどうか」「似たようなデザインでもっと安いアイテムはないか」「実際に購入した人の口コミはあるか」「自分にピッタリのサイズはあるか」「自分が持っている他のアイテムと上手くコーディネートできるか」といった思考や感情が想定されるでしょう。
このように、ペルソナの視点に立って具体的に思考や感情を明文化していく必要がありますが、”ペルソナの心理を想定する際はあえて抽象的なものを入れる“のもおすすめです。
加えて、思考や感情を整理する際は、ポジティブなものとネガティブなものとに分けておくと、課題や改善方法が浮かびやすくなります。
共感マップの必要性
なお、ペルソナの心理を想定・整理する際は、共感マップを活用するのも効果的です。
共感マップとは、ペルソナが置かれている状況や感情を理解するためのフレームワークで、スタンフォード大学のデザインスクールなどでも使われています。
カスタマージャーニーマップの作成だけでなく、KPIツリーやマンダラートといったフレームワークの作成にも役立つので、作り方や作成のポイントを知っておいて損はないでしょう。
また、共感マップでは、「think/feel」「hear」「see」「say」「pain」「gain」の6つの観点からペルソナの感情を考えていくのが基本です。
「think」では、ペルソナが何を考え、何を感じ、何を望んでいるのかを検討します。現在の思考だけでなく、将来の夢や願望なども考慮するとともに、言動には表れていないもののペルソナが重要視していることを考えることが大切です。
「hear」では、周囲の人々やメディアなどから何を聞いているのかを検討します。ペルソナが日常生活を送る上で耳にする可能性がある情報を、ポジティブ・ネガティブ問わずに想定し、記入していくことが重要です。
「see」では、日常生活や交友関係などを通して、何を見ているのかを検討しましょう。
ペルソナが普段の生活でどのような課題に直面しているのか、周囲にはどのような人々がいるのか、どのようなサービスに触れているのかといった項目を具体的に考えていきます。
「say」では、普段どのような言葉を発し、どのような振舞いをしているのかを検討します。言葉だけでなく行動についても考える要素で、ペルソナが自ら率先して行う言動だけでなく、交友関係などを通して行う可能性がある発言や行動を探っていきましょう。
「pain」では、どのようなことに対して不満やストレスを感じているのかを検討します。
ペルソナが日常生活を送る上で抱えている不満やストレスを洗い出す必要がありますが、ネガティブな感情には効果的なマーケティング施策につながるヒントが隠されていることが多いので、6つの要素の中でも特に重点的に検討することが大切です。
「gain」では、何を手に入れたいのか、何を行いたいのかを検討します。現在、ペルソナが欲しているモノや行いたい行動について考えていきます。
以上が共感マップを作成する上で考慮すべき6つの要素となりますが、実際に共感マップを作成する際はまず6要素を書き出すためのシートを準備しましょう。
シートの形式に決まりはありませんが、一般的にはシート中央にペルソナのアイコンを配置し、その周囲を6つに区分して6要素を記入していきます。
なお、インターネット上には共感マップのテンプレートも多数公開されているので、配布されているテンプレートを活用したり参考にしたりするのも良いでしょう。
また、共感マップを作成する際は一人ではなくグループで取り組むことが大切です。
ペルソナの感情を一人だけで考えてしまうと、その人の想像以上のものにはならないので、ペルソナと実際の顧客像の間にズレが生じてしまう恐れがあります。
一方で、複数人で共感マップを作成すれば、多角的な視野でペルソナの感情を捉えられるとともに、各々の考えに偏りがあることを発見できる可能性も高まります。
これにより、よりリアルなペルソナの感情を洗い出すことが可能となるので、共感マップを作成する際は必ず複数人で取り組むようにしましょう。
なお、複数人で共感マップの6要素を検討する際はブレスト方式で進めるのがおすすめです。
ブレスト方式でマップ作成を進めることで、短時間でより多くのアイデアが得られるので、効率的にマップを作成できるようになります。
さらに、共感マップを作成する際は、定期的にペルソナのことをどの程度理解できているのかをチェックすることが重要です。
“不明な点がある場合は、何らかの漏れがあるということなので考え直しが必要”です。
ペルソナのことを100%理解できるようなマップ作成を目指しましょう。
加えて、マップが完成したら、他のペルソナとの違いがあるのかを確認することも重要です。
他のペルソナにはない特徴がある場合、そこに有効な施策につながるヒントが隠されている可能性が高いので見落としてはいけません。
精度が高い共感マップを作成できれば、カスタマージャーニーマップにおけるペルソナの心理がよりリアルに想像できるようになるので、ある程度の時間をかけてしっかりと作り込むことが重要です。
ただし、複数人でマップ作成に取り組んだとしても仮説の域は出ないので、マップ完成後はペルソナに近い人物へのインタビューを実施するなどしてブラッシュアップをしていくことが大切です。
ブラッシュアップを重ねることで、共感マップの精度を高めることができるでしょう。
ペルソナとのタッチポイントごとの施策を策定する
タッチポイントの設定と具体化
ペルソナの行動を細分化し、ステージごとの心理を想定したら、タッチポイントごとに施策を策定していきましょう。
カスタマージャーニーマップにおけるタッチポイントとは、顧客と企業の接点のことで、購買プロセスの中で顧客が使用する媒体のことを意味します。
代表的なタッチポイントとしては、Webサイト・SNS・テレビCM・雑誌・メルマガ・販売スタッフ・周囲の口コミなどが挙げられます。
タッチポイントの設定は、細分化したペルソナの行動をベースに行っていきますが、1つの購買フェーズに複数の接点が存在するケースもあるので注意が必要です。
また、ペルソナの視点に立って全てのタッチポイントを洗い出すことが重要となりますが、自社が提供しているタッチポイント以外についても考慮することが重要です。
タッチポイントと一口に言っても多種多様で、思ってもみない接点が存在しているかもしれません。
そのため、自社が提供しているタッチポイントだけに限定してしまうと、漏れが多いカスタマージャーニーマップになってしまう恐れがあります。
タッチポイントを設定する際は、自社が提供しているタッチポイントよりも、それ以外にどのような接点があるのかを重点的に洗い出すことが大切です。
全てのタッチポイントを網羅するためには、複数人で多角的な視点を持って洗い出しを行うとともに、マーケティング部門だけでなく顧客と直接接する機会が多い営業やカスタマーサポートといった他部署のスタッフにも意見を聞く必要があります。
さらに、”タッチポイントを設定する際は可能な限り具体化する“ことも意識しましょう。
例えば、SNSと一口に言ってもTwitter・Instagram・Facebookなど様々な種類があり、それぞれ特徴やユーザー層が異なります。
どのSNSなのかによって、有効もマーケティング施策も異なるので、タッチポイントの洗い出しが一通り完了したら、抽象的なものがないか確認し、可能な限り具体化しておくことが大切です。
以上がタッチポイントを設定する際のポイントとなりますが、タッチポイントの設定が完了したら、各接点ごとに有効と思われる施策を検討していきます。
施策を検討する際は、ここまでのステップで洗い出したペルソナの行動や心理にマッチしていない部分はないかという観点で考えることが大切です。
また、現実的ではない施策については排除する必要なありませんが、一旦外しておくと良いでしょう。
デジカメ購入時のカスタマージャーニーマップ
今回は、カスタマージャーニーマップの作成方法について解説してきましたが、インターネット上にはカスタマージャーニーマップのテンプレートが数多く公開されています。
カスタマージャーニーマップ作成の経験がないのであれば、最初はテンプレートを活用するのがおすすめですが、BtoBビジネスとBtoCビジネスのカスタマージャーニーマップは大きく異なるケースが少なくありません。
そのため、テンプレートはBtoBビジネス向けなのか、BtoCビジネス向けなのかを確認した上で選択しましょう。
また、最後にデジカメ購入についてのカスタマージャーニーマップをご紹介します。
このカスタマージャーニーマップは、20代の独身女性が友人と海外旅行に行く際に新たなデジカメを購入するという設定で作成されており、横軸は「商品を探す」「商品を購入する」「商品を利用する」「商品を評価する」の4フェーズ、縦軸はタッチポイント・行動・思考で構成されています。
“「商品を探す」というフェーズにおけるタッチポイントは、ECサイト・口コミサイト・SNS・友人の口コミの4点”です。
ペルソナの行動としては、「ECサイトでの検索」「口コミサイトやSNSでの情報収集」「実際にデジカメを購入した人への相談」となっています。
ペルソナの思考は、「予算内に収まるか」「好きなカラーバリエーションはあるか」「素人でも使いこなせるか」「どのような機能が搭載されているか」となっています。
「商品を購入する」フェーズにおけるタッチポイントは、ECサイトと実店舗の2点です。
ペルソナ行動としては、「候補から商品を選んで購入する」「店頭で試し撮りしてみる」となっています。
ペルソナ思考としては、「綺麗な写真が撮れるか」「マニュアルを読むのが面倒」「コンパクトで持ち運びに便利」などが挙げられます。
「商品を利用する」フェーズにおけるタッチポイントは、旅行先です。ペルソナ行動は、「旅行先での利用」で、ペルソナ思考としては、「撮影モードの切り替えがよく分からなかった」「前のデジカメよりも鮮明な写真が撮れた」となっています。
「商品を評価する」フェーズにおけるタッチポイントは、ECサイト・口コミサイト・SNSの3点です。
ペルソナ行動としては、「使い勝手をレビューする」「仕様について紹介する」となっています。
ペルソナ思考としては、「旅行の際に最適なデジカメなので周囲にも薦めたい」「SNSに投稿した写真が評判が良かったので買ってよかった」となっています。
また、各フェーズごとの課題としては、「商品を探す」フェーズでは「ライトユーザー向けの商品ラインナップの見せ方」「価格・機能・カラーの検索UI」などです。
「商品を購入する」フェーズでは、「スムーズに購入できるか」「マニュアル以外で操作方法を提供する手段」など、「商品を利用する」フェーズでは、「利用する際に困った場合のフォロー方法」などが挙げられます。
「商品を評価する」フェーズでは、「ユーザーの評価はどの媒体で確認できるか」「ポジティブな評価をどのように拡散させるか」などが課題となるでしょう。
まとめ
カスタマージャーニーマップを作成すると、顧客に対して適切なタイミングで適切なアプローチをできるようになりますし、より精度が高いマーケティング施策をスピーディーに立案することも可能となります。
ただし、カスタマージャーニーマップは顧客目線で作成するとともに、想像だけでなく客観的なデータを取り入れることが大切です。
加えて、始めから完璧なマップを作成しようとしないのもポイントです。
カスタマージャーニーマップは、アップデートを繰り返して最適化していくものなので、始めから作り込みすぎないことが重要となります。
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