Cell phone: 03 - 4226 - 3014

Email: info@markemist.jp

MA(マーケティングオートメーション)ツール運用のためのカスタマージャーニーの作成方法

 

カスタマージャーニーとは

日本語では顧客の旅

マーケティングにおいて目にすることが多いカスタマージャーニーとは、そもそもどういった概念なのか把握しておくことが大切です。カスタマージャーニーとはカスタマー、つまり顧客のことで、日本語では顧客の旅と訳されることが多いですが、これだけだと曖昧で具体的なイメージを頭に描くのは難しいです。カスタマージャーニーを理解するポイントはいわゆるペルソナと、ペルソナの行動だったり感情や思考などの要素です。カスタマージャーニーでは、架空の顧客をペルソナに見立てて、時系列的にどのような行動をするのか、感情や思考の変化を交えて想定されます。特定の顧客の行動などを時系列的に確認する手もありますが、ペルソナは様々な顧客の平均的なイメージなので、特定の顧客よりも理解しやすくイメージも共有しやすいです。だからこそマーケティングではペルソナが活用されていますし、カスタマージャーニーにもペルソナが定番となっているわけです。ペルソナを設定してカスタマージャーニーを作成すれば、今後の方策が検討しやすくなりますし、効果を高めるマーケティングに取り組むことができます。従来のアプローチ方法に問題はなかったか、改善点はないかなども分かるので、カスタマージャーニーを作成するのはおすすめです。

カスタマージャーニーは顧客の行動の段階や心理状態、接触するコンテンツやメディアが段階と共に分けられます。最初のフェーズは課題だったり興味を持っている関心で、顧客が何か気になること、困りごとを抱えている段階です。この段階で顧客は気になっている事柄に関する情報を探したり、困りごとを解決する方法を知りたいと考えます。触れるメディアは様々で、それこそ検索サイトだったりSNSや動画配信サイトにアクセスすることもあるでしょう。とにかく知りたい情報が得られる足掛かりを探している段階なので、メディアの種類を問わず手当たり次第に触れようとする傾向が見られます。ある程度情報が集まると、次は具体的な解決方法を探そうとする段階に進みます。顧客自身が必要とするコンテンツの理解を深めるので、触れるメディアが絞り込まれますし、情報収集に無駄がなくなっていきます。情報が厳選されて価値ある情報が手元に残ると、そこでようやく商品やサービスの購買や利用の検討です。不足を満たしたり希望を叶えてくれる商品、サービスが見つかった状況なので、後は商品やサービスのレビュー、口コミなどを確認して購買が決められます。購入の決断後には使用感の発信、情報の共有といった行動が行われることがありますから、カスタマージャーには購入とそれ以降のフェーズも含まれます。

カスタマージャーニーの歴史

カスタマージャーニーの歴史は1990年代にまで遡り、カスタマーエクスペリエンスの実践に取り入れられ活用が始まりました。日本に輸入され導入が始まったのはそれ以降のことですが、2000年代のマーケティングにおける、決して軽視できない要素になっているのは確かです。むしろ使い古されていて枯れているという見方もありますが、今でも有効な手法ですし、活用を検討しない手はないです。とはいえ、顧客行動は多様化していますし価値観も変化しているので、カスタマージャーニーの使い方にも柔軟性が必要です。カスタマージャーニーが役立つのは、顧客だったり見込み顧客との接点を把握したり、行動をフェーズに分けてフェーズごとにどうアプローチするべきか洗い出すことです。いきなり熱狂的なファンになる顧客というものはありませんし、興味から段階を踏んでファンになるわけですが、カスタマージャーニーを活用すればファンの育成も夢ではないです。それとアプローチ方法を含めて、ペルソナに関する情報をチームのメンバーで共有できるのがマーケティングの強みとなるので、改めて重要性は損なわれていないといえます。

カスタマージャーニーの役割

カスタマージャーニーには、顧客との接点のタッチポイントと、それを可視化する重要な役割があります。どこで接点を持てるか、接点があるかが分からなければ効率的な施策はできませんし、効果を測定することも難しくなります。どのように商品やサービスを認知してもらうか、検討してもらえるようになるかも分かりませんし、購買やサービスの利用の実現は夢のまた夢になってしまいます。カスタマージャーニーが手元にあると、アプローチの先手を打つことができますし、マーケティングの効率化がアップして結果に対する期待も高まることになるでしょう。カスタマージャーニーマップはカスタマージャーニーを設計するツールのことで、いかにツールを活用できるか手腕が問われます。今や情報発信の多様化や顧客行動の複雑化など、かつて直線的でシンプルだったマーケティングは難易度が上がっています。カスタマージャーニーはこれを一度見直したり、把握しやすく捉えようとする試みで、フェーズに分けて顧客行動の把握を行う理由もそこにあります。

顧客の購買行動を旅に見立てるという考え方は面白いですし、実際にカスタマージャーニーを作成すると、様々な発見に出合えるはずです。旅をしたことがある人なら、後で旅を振り返って当時は気づかなかったことに気がついたり、新たな発見をしたという経験があるでしょう。カスタマージャーニーもまさに同じで、対象がペルソナといえども行動や感情、思考に関する発見の切っ掛けになります。これはペルソナの旅を追体験するというよりも、マーケティング側がどのような体験を提供できるかシミュレーションをするのに近いです。シミュレーションによって問題が発覚すれば修正して、再びシミュレーションを行い再評価する形です。ペルソナを用いる時点である種のシミュレーションなわけですが、これから取り組むマーケティング施策の骨格作りに、肉づけに繋がります。シミュレーションなので、前提条件が重要となってくるのは言うまでもありませんし、ペルソナの設定が不十分だとシミュレーション結果も曖昧になります。そのため、カスタマージャーニー作りと活用を始めるのであれば、必要性の理解とメリットや作り方の把握が欠かせないです。良し悪しや注意点を理解してこその取り組みですから、活用できるやり方を理解した上で挑戦を始めましょう。

 

なぜMA運用にカスタマージャーニーが必要なのか

カスタマージャーニーの必要性

カスタマージャーニーの必要性について、そもそもなぜMA運用に必要となるのか知ることが重要です。これは自動化によってマーケティングを効率化する手法ですが、ただ自動化すれば効率が良くなるというほど単純ではないです。MAによるマーケティングは精度が重要とされていて、その精度を左右するのがまさにカスタマージャーニーです。勿論、マーケティングの良し悪しはこれだけで決まるものではありませんが、重要性が高く決して無視できないのは間違いないです。既にMAツールを導入していたり、運用を始めていて成果に満足できていない場合は、このシナリオに問題がある可能性が高いです。シナリオを見直し設計をやり直すことも必要になりますが、何のヒントや方向性もなしに作り直しても、結局は同じような結果になるでしょう。シナリオ設計を無駄にせず、より確実な成果に繋げるためには、カスタマージャーニーの活用が鍵を握ることになります。顧客の行動と感情や思考を結びつけて把握する手法ですから、どのタイミングでどのようなアプローチをすれば良いのかが見えてきます。MA運用もまさにタイミングが重要ですし、絶妙なタイミングで行うアプローチが成果になりますから、MA運用におけるカスタマージャーニーの重要性には疑う余地がないです。

MA運用にカスタマージャーニーを組み合わせると、マーケティングオートメーションの効果を引き出したり更に高めることができます。カスタマージャーニーのキーワードとなるタッチポイントは、MAの実践において知らなければ話にならない要素です。カスタマージャーニーがあると、タッチポイントを把握した状態でMA運用が行えますから、顧客の理解が深まり行動の原理も分かるようになります。心理状態も合わせて把握できるわけですから、購買意欲が高まる切っ掛けや理由、アプローチ方法などの理解も深められます。カスタマージャーニーは、過去の購買からパターンを読み取り、MA運用に適用するといったことも可能とします。行動が分かるだけでなく、顧客にどのような心理や意識の変化があったかも見えるので、組み合わせて適用すればMA運用の見通しが良くなるはずです。見込み顧客が購買に至るパターンが理解できれば、シナリオの構築もしやすくなりますし、顧客の属性に合わせて最適な情報やコンテンツの発信が実現します。スコアリングもやりやすくなりますから、マーケティングに活用しないのは勿体ないです。見込み顧客にはタイミングによって必要とする情報、アプローチというものがあるわけで、カスタマージャーニーなしにMA運用を成功させるのが難しいのは言うまでもないです。

MA運用とカスタマージャーニーの必要性

MA運用とカスタマージャーニーの必要性は、マーケティング業界においては散々語られてきましたが、今も昔も結論は変わらないです。結局のところ、MAツールをフル活用して効果を引き出し成果に結びつけるには、シナリオの精度を高める他ないわけです。試行錯誤でも精度の高いシナリオを追求することは可能ですが、数を打たなければ当たらないようなやり方は非効率的です。逆に、ある程度的を絞りシナリオを設計して評価を行えば、精度の低い結果となっても、短期間のうちに精度を高めて成果に繋げることができます。その助けとなるのがカスタマージャーニーで、ゴールまでの顧客の道のりや顧客が辿るルートの把握がアプローチに役立ちます。戦略を立てることと実践して成果を上げること、それらのいずれにもカスタマージャーニーが役立つことになります。地図もなくルートも見えない状況での登山は怖いものですが、現在地が分かる情報があれば自信が持てますし、安心してゴールを目指すことができます。

流れの把握から次に行われる行動、その後の展開が予測できるのがカスタマージャーニーで、次の手を打つMAツールとの相性が良いです。情報収集を始めた見込み顧客が次に何をするか把握できていれば、興味を持っている事柄に関して、適切なタイミングと内容の提案を行うことができます。これは、カスタマージャーニーなしには成り立ちませんし、MAツールの運用だけで実現しようと思えば骨が折れます。苦労してMAの運用方法を確立しても、増加する顧客の行動パターンに対応したり、変化に合わせて柔軟に形を変えるのは困難です。しかしカスタマージャーニーがあればパターンが増えて多様化しても大丈夫ですし、変化にも柔軟に対応できるので、長期的に安定したMA運用が可能となります。当然ながらシナリオの精度を上げることが大前提で、精度の高いシナリオの設計には様々な経験を持つ人が必要です。複数の視点から形作っていくことで、シナリオの精度が上がってMA運用の有効性がアップするわけです。そして、じっくりと練り上げたペルソナを使いシナリオを組み立てる必要があるのは、カスタマージャーニーに通じるところです。

カスタマージャーニーのないマーケティングオートメーションは活用ができない、効果が半減するとなれば、MA運用にこだわる必要すらなくなります。マーケティングオートメーションを本格化するつもりがないなら、顧客の行動を分析する必要性もなくなりますが、MAツールを使う理由も薄れてしまいます。2つの要素は一心同体と言っても過言ではないので、組み合わせて使うことを前提に、導入を検討したり運用を始めるのが望ましいです。他にもっと相性の良い組み合わせがあるならこだわる必要はないでしょうが、定番でしかも実績があるのはこれらの組み合わせです。ペルソナもカスタマージャーニー、ひいてはMA運用で活きてきますから、正確にいえば3つの要素の組み合わせと活用がポイントになるといえます。顧客のことは理解しようにもしきれないというのが、マーケティング担当者の思うところですが、カスタマージャーニーを使えば少しずつ理解に近づくことができます。評価と改善の繰り返しを欠かすことはできませんが、諦めずにサイクルを回すことで、MA運用を加速させられるのは確かです。シナリオの精度も上がり効果も目に見えるようになりますから、カスタマージャーニーの必要性を疑うのであれば、一度MA運用に取り入れてみることをおすすめします。何事も試してみなければ分かりませんが、実践することでその意味が分かるものと思われます。

 

カスタマージャーニーのメリット

1.顧客の理解を深めることができる

カスタマージャーニーを用いるメリットはいくつかありますが、1つは顧客の理解を深めることができる点です。顧客の行動や思考といったものが分かるようになり、購買プロセスの流れと共に、顧客そのものの理解も深められるのがメリットです。単純な行動については、アクセスだったりページの遷移をログなどから知ることで把握できますが、あくまでも断片的な情報に過ぎず、顧客を理解するのには不十分です。アンケートも顧客の理解を深めるために活用される定番の手法ですが、やはりアンケートもカスタマージャーニーほど理解を深められるわけではないです。カスタマージャーニーマップは顧客像をペルソナとして、時系列的に行動とそれに伴う感情、思考を見える状態にすることができます。購買プロセスの流れそのものはシンプルですが、各フェーズで顧客に何が起こっているのかを詳細に分析できることこそがメリットに他ならないです。シナリオを設計するMA運用においては、ストーリーとして顧客の行動を知ることができるカスタマージャーニーが非常に役立つことになります。

マーケティングは企業の目線で考えたり、顧客にアプローチするのが普通ですが、カスタマージャーニーを用いると顧客の目線が分かったり他の考え方ができます。顧客が本当に求めているものは何か、こういう時にどうして欲しいのかなどが見えてきます。カスタマージャーニーは、顧客の感情面も把握しようとする試みなので、感情に寄り添うアプローチ方法も見つけることができるでしょう。物事は単純なものばかりではありませんし、感情ともなれば複雑で時に目まぐるしく変化します。特定の顧客にフォーカスを合わせ、リアルタイムに変化を観察する仕組みではありませんから、感情の動きを正確かつ1つも逃さずに捉えるのは不可能です。しかし、複雑化しがちな感情をシンプルに、把握しやすい状態で捉えられるカスタマージャーニーを実施するメリットは大きいです。直感や感覚頼りと比べて、カスタマージャーニーに沿うやり方でマーケティングに取り組めば狙いを大きく外すことはなくなりますし、投げたボールが顧客に当たりやすくなります。これもやはり顧客目線に立てるからですし、MA運用に必要で不可欠ということも分かります。

カスタマージャーニーを活用すると、マーケティング施策がスピードアップしてしかも精度が上がります。カスタマージャーニーの作成には、個人が経験に基づいて作れるようなものではなく、マーケティングを筆頭に営業や開発、サポートなどの部署の協力が欠かせないです。つまりチームで取り組む必要があるので、必然的にコミュニケーションを図り、意見を交換しながら一緒にカスタマージャーニーマップを作り上げることになります。チームとして協力する中で、お互いの立ち位置やマーケティングの取り組み方、姿勢などの理解が深まりますから、カスタマージャーニーによってマーケティング全体が早くなるのも当然です。それは意思決定も同様ですし、的確に決定して迅速に行動に移すことができるので、マーケティングが加速するわけです。ペルソナに象徴されるように、チームで顧客の共通認識が持てるようになり、理解を深めることができるので、カスタマージャーニーの導入や実践に挑戦する価値は大きいです。軌道に乗れば後が楽になりますから、最初は苦しくてもレールの上に乗せられるように車両を作りましょう。

2.思い込みによる誤った施策をせずに済む

カスタマージャーニーのメリットにはもう1つ、思い込みによる誤った施策をせずに済むというものがあります。仮にもしカスタマージャーニーなしでマーケティングを行おうとすると、あれこれ想像力を働かせて顧客を理解しようとします。ところが、想像はその域を出ることはありませんから、正しいと思い込んでマーケティングを押し進めてしまう恐れが出てきます。早い段階で間違いに気がつけば方向転換できますが、正しいはずだと考えて突き進んでしまえば、気がついた頃には引き返せなくなる可能性があります。その点、カスタマージャーニーは最初からある程度精度の高い予測に基づきマーケティングができますし、改善を繰り返しながら精度が高められるので、思い込みそのものが避けられます。思い込みに基づく誤ったマーケティングは、データを軽視することにも繋がりますから、いくら努力を続けても結果が出ないです。結果が出たとしてもそれは偶然ですから、何度も同じように結果が出せる保証はないですし、次は失敗する可能性も十分にあります。連戦連勝とまではいかなくても、勝率を上げることがマーケティング施策におけるポイントなのは間違いなく、カスタマージャーニーが勝率を上げる後押しになります。予測を立てて取り組み、失敗しても改善できる余地がありますから、正しく結果に繋げられるマーケティング手法を選び取り組みたいものです。

カスタマージャーニーは、企業と顧客の関係を強化するのに役立ちますが、一方では企業内の関係強化を図ることにもなります。多部署がチームを組んで図式に落とし込むカスタマージャーニーマップの性質上、作成の取り組みが部署間の連携力を高めます。コミュニケーションを取る機会が増えるので、潤滑に意思疎通や情報共有ができるようになりますし、相手が必要とするものが見えてきますから、連携しながら一緒に取り組む意識が強まります。ペルソナという1つの共通するイメージを共有して連携するので、カスタマージャーニーと通して組織が強化されるのも頷けます。しかも属人化が避けられるメリットも発揮しますから、マーケティングの担当者が変わることになっても、施策を問題なく続行することができます。カスタマージャーニーなしのマーケティングは、部署がそれぞれ独自に取り組もうとするので、組織としてバラバラのやり方をしてしまいがちです。場合によっては部署間で正反対のマーケティングをしてしまうこともあるので、部署同士で対立することにもなり得ます。カスタマージャーニーはまさに、バラバラになりがちな組織をまとめてくれるのがメリットで、共通の目的や同じ取り組み方で効率的なマーケティングが始められます。

 

カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップの作成では、ペルソナ像の設定とゴールの設定、フェーズの想定やフェーズごとの行動、感情や思考の想定が必要です。ペルソナとは架空の顧客像のことですが、各種の属性やライフスタイルだったり、パーソナリティや関心事など事細かに設定して作り上げるものです。属性は年齢に性別と居住している場所や職業、家族構成に雇用形態と年収などが定番です。一方、ライフスタイルには起床や就寝時間に通勤方法、通勤時間や週末、休日の過ごし方が挙げられます。パーソナリティを構成する要素は価値観だったり、感じているコンプレックスや譲れないこだわり、心配していることや悩み事といったものです。関心事や興味は気になっているニュースや参考にしている情報源、SNSの利用の有無や利用頻度となるでしょう。このようにして作り上げられたペルソナがカスタマージャーニーマップの基準となるので、時間を掛けてしっかり作ることが大事です。ペルソナは必ずしも1人のみというわけではなく、性別や年齢別で複数が想定されることもあります。複数のペルソナを設定する場合は、ペルソナの数だけカスタマージャーニーマップも作成することになります。

ゴールの設定

ゴールの設定というのは、商品の購入なのかサービスの利用なのか、あるいは問い合わせを成果とするのか決めることを意味します。一般的にマーケティングといえば購買がゴールですが、購買だけがゴールとは限りませんし、問い合わせや資料請求もゴールに設定することがあります。ゴールによってフェーズの想定もマーケティング施策も変わってくるので、この点は取り組みがブレないようにゴールを決めることが重要です。カスタマージャーニーマップは、既存の顧客に対するアプローチにも有効ですから、リピート購入やリピート利用をゴールに設定することもできます。ゴールさえ決まれば、後はそこに至るまでの道のりを描くことで、カスタマージャーニーマップの骨格が形になります。イメージ的にはサッカーのようなもので、ゴールを決めるためにチームでどのような戦略を練るかというのに似ています。ゴールを目指す戦略はそれこそ無限大にありますが、現実的な方法を選んで実践する必要があります。カスタマージャーニーマップは戦略を練り上げるための図式で、チームのメンバーはそれを見ながら取り組むことになります。

フェーズの想定

フェーズの想定は、カスタマージャーニーマップにおける時間軸を想定して設定するステップです。最初に無関心の状態に始まり、課題を認識して次に課題を解決するニーズの高まり、解決方法の模索や要件の具体的な定義、導入の検討といったフェーズを辿ることになります。そして誰から購入するかという選定に進み、最終的に購入という結果に至ることが想定されます。これは課題の解決において想定されるフェーズで、商品の購入やサービスの利用となれば、また違ったフェーズが想定されることになります。フェーズ想定の基本は時系列で、段階的にどう顧客の行動が変化するかを想定して設定することが大切です。始点が無関心で次が認知、最終的にゴールという流れでフェーズを設定するのがポイントとなります。どこまで細かくフェーズを設定するかはケースバイケースですが、細か過ぎても使いにくいですし、大雑把だとフェーズ間の行動が把握できないので、バランス感覚が求められます。想定が難しくて上手く設定できない時は、自分が顧客の立場だったらどう行動するかをイメージしてみるのが良いでしょう。

行動の想定

行動の想定は情報収集のフェーズにおいて、顧客がどの方法でどのように情報を求めたり集めるかを想定するものです。比較的若い年齢層だとインターネット検索の優先度が高くなりますが、逆に高齢になるほどネットよりも、電話での問い合わせや資料請求を選択すると想定できます。この行動の想定もペルソナに合わせて設定するわけですから、年齢や職業などの属性と合わせて設定していくことが必要です。属性が決まると行動パターンが見えてきますし、ペルソナは曖昧だった輪郭が明確になっていきます。情報収集をする中で、当然ながら他社との比較が行われることも想定されますから、想定されることは逃さずペルソナに盛り込みたいところです。感情や思考の想定も、各フェーズで顧客が何を感じ、考えながら行動するのかを想定して設定するものとなります。感情で動く人間は、感情と思考、感情と行動を切り離すことはできないので、これらはセットで把握したり分析するのが正解です。例えば欲しい情報がベストなタイミングで提示されれば、顧客はその情報源に興味を持ちますし、商品やサービスにも興味を持って購買を検討する可能性が高まると考えられます。感情と行動が結びつく例の1つに過ぎませんが、どうように顧客の心が動くケースは他にもあるでしょう。

発信、提供するコンテンツを想定する

ゴールやフェーズ、行動や感情に思考が想定できたら、次はいよいよ具体的に発信、提供するコンテンツを想定する番です。情報収集を始めた段階の顧客にはやはり、オウンドメディアや広告にSNSといった多チャンネルの戦略が有効だと想定できます。テンツは顧客との接点となる重要なものですし、どのように接触するかによって顧客の行動や感情が変わることになり得ます。想定がしっかりできていても、コンテンツの設定が中途半端では意味がありませんし、折角のカスタマージャーニーマップも有効性を発揮せずに終わってしまいます。最初からコンテンツを含めて想定したり、設定することが大事ですが、後から見直し改善することができるので、必要以上に失敗を恐れることはないです。大切なのは常に施策をしながら効果を測定したり、改善点を探して取り組み続けることです。見込み顧客との接触が上手くいっているか、タッチポイントの設定に間違いはないかなど、確認したり見直すべきところはいくつもあります。カスタマージャーニーマップには本当の意味で完成はありませんし、出来上がったと思ってもそれは改善の始まりに過ぎないです。ペルソナすらも必要に応じて設定を見直すことになるので、カスタマージャーニーマップはこうあるべきという凝り固まった捉え方をしない方が良いです。

 

カスタマージャーニーマップ活用の際の注意点

カスタマージャーニーマップは、しっかりと作り込んでMAツールと連携させれば、効果的なマーケティングが実現するツールです。しかしカスタマージャーニーマップを用いない施策と同様に、ペルソナの設定にも思い込みが挟む余地があるので注意です。ペルソナは架空の存在ですが、作り上げていく中で主観が入り込みがちです。主観を完全に排することは難しいとしても、主観に主観が積み上がって出来上がるペルソナは使い物にならないので、主観が入り込んでいないか客観的に確認することをおすすめします。特に注意が必要なのは、自社が求める顧客像をペルソナとして作り上げてしまうケースです。確かに理想のペルソナが実際に顧客として目の前に現れれば嬉しいですが、作り上げたペルソナが現れるわけではないので注意しましょう。ペルソナというのは、実在してもおかしくない顧客を想定して架空の顧客として作り上げるものです。つまり、思い込みや希望が盛り込まれて作り上げられたペルソナは、実在とは大きくかけ離れた人物像となります。どう考えても実在しない人物像のペルソナはマーケティングには使えないので、使い物にならないペルソナを作らないように細心の注意が必要というわけです。

カスタマージャーニーマップを作り始めるべき

いきなり作り込んでしまうと柔軟性が損なわれ、施策が凝り固まったものになってしまうので、最初はラフにカスタマージャーニーマップを作り始めるべきです。肩ひじの力を抜いてラフに、シンプルに骨格を作りながら肉づけをしていくのが好ましいです。カスタマージャーニーマップは、情報を集めながら埋めていく世界地図のようなものなので、最初から完璧な完成を目指すのは無理です。情報不足の状況で完璧な仕上がりを目指そうとすれば、かなり想像の部分が地図を埋め尽くすことになるでしょう。PDCAサイクルはマーケティングで使い古されている言葉ですが、カスタマージャーニーとMA運用にも、このサイクルは重要なものとなります。とりあえず実施して評価を行い、改善点があれば修正してもう一度サイクルを回す、その繰り返しがカスタマージャーニーマップの完成度を高めます。焦らなくても地図の情報は少しずつ埋まっていきますから、急がば回れの精神でまっさらな状態から地図作りを始めましょう。昔の船乗りは航海しながら地図を埋めていったわけですから、カスタマージャーニーマップも同じく、MA運用をしながら形にしていくのが正解です。

マーケティングに絶対はありませんし、時代の変化と共にニーズや施策も変わってくるものなので、カスタマージャーニーマップも作って終えないことが肝心です。どのようなサービスも改善を続けているものですし、小さな改善の積み重ねが大きなバージョンアップになるからこそ、時代の変化に取り残されずに済みます。カスタマージャーニーマップもMAもバージョンアップが重要で、常に感度の高いアンテナを張って変化を捉え、変化に応じて見直しを図るのが理想的です。情報収集や購買行動は時代と共に少しずつ変化するものですから、昔のやり方が現代には通用しないのと同じで、現在有効な方法も将来的に通用しなくなると考えた方が良いです。カスタマージャーニーマップは更新せず放置すれば陳腐化する、そう常に頭の片隅に置いておけば危機感が持てますし、バージョンアップを疎かにすることはなくなるはずです。当然ですが、バージョンアップを想定しないでカスタマージャーニーマップを作り始めると、後々改善しにくくて困ることになるので要注意です。組織的にもバージョンアップに対応できる体制を整え、確立されてからMA運用を始めるのがベストとなります。

複数人で作るべき

客観性が重要で主観を排する必要があることを考えると、実在する顧客のデータを元にペルソナを作ること、1人や限られた部署内ではなく、多部署の複数人で作るべきだと分かります。ペルソナそのものは設定がマーケティング施策の方向性を決定づけるので、要素1つ設定するのも慎重に検討したいところです。それから誤りを認めたり修正するのを恐れない心構え、こまめにアップデートを重ねてバージョンアップを図る運用方法も大事です。想定しても具体的なイメージが湧かない項目は無理に埋めようとしないこと、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作って満足してしまわないことも注意点となります。また、活用しないことには上手く作ることができているか分かりませんし、MAツール運用の効率化になっているかどうかも分からないので、活用して確認することが重要です。MAのように大きく動かすことになる車輪は、テストなしにいきなり本番を迎えるのはリスクが高いです。つまり最初はテストのつもりでラフスケッチや下書きから始めて、問題がないか確認しながら動きをつけたり、着色をするのが良いわけです。タッチポイントを設けてテストをすることになりますが、このタッチポイントが上手く機能しているかについても確認が必要です。

失敗を認めるのは怖いものですが、カスタマージャーニーマップの想定や設定が上手くいっていないと、フェーズの想定まで見直しが必要になります。初挑戦で完成度の高いカスタマージャーニーマップを作れる人は殆どいませんから、もしフェーズ想定まで見直すことになっても自分を責め過ぎない方が良いです。失敗はむしろ優れたカスタマージャーニーマップを作る礎になりますし、失敗を繰り返すことで無駄のない、洗練された作り方の理解が深まっていきます。大きく見直し作り直すのは手間ですが、誰かを責任者に祭り上げて責任を追及するのは間違いです。責任は作成に関わった全ての人にありますし、全員が失敗を認めて次に活かせば良いだけの話です。つまらないことで揉めていては、MAツールの運用どころではありませんし、マーケティング施策の実現という当初の目的が遠のいてしまいます。カスタマージャーニーの実践には環境作りも重要ですが、失敗しても責められない雰囲気を醸成するのが望ましいです。それと誰でも意見を言うことができたり、些細なことでも意見が取り入れられるようにするのも良いことです。

意見の偏りが誤ったペルソナの想定を引き起こすので、意見が偏らないようにしつつ、三歩進んで二歩下がるつもりで前身を目指したいものです。

高橋和人
高橋和人
Webメディア運営、MAツール運用など、インサイドセールス戦略の立案から実務まで幅広く担当してます。
集客にお困りの方はお問い合わせください。

CALLTREE(コールツリー)