【STEP1】縦軸(項目)に入る内容を精査
ユーザーのニーズは多様化を極め、トレンドの変化のタイムサイクルも商品やサービスによっては非常に短いタイムスパンのなかで同業他社との競争にさらされているという状況が、業種のいかんをとわず激しくなっています。うつろいやすいトレンドと予測しがたいニーズの変化を戦略的に捉え、今後のマーケティング戦略にフィードバックすることの重要性はこれまでになく高まりつつあります。他方でインターネット空間は国境を壁を容易に飛び越えることを可能にしており、はたして想定しているクライアント層に自社が訴求したいメッセージがリーチしているのか把握も難しくなっています。このような最近のマーケティング環境のなかにあって、カスタマージャーニーマップの活用は多くの有益な情報をもたらし、中長期的に効果的なマーケティングを可能にするもので、注目を集めています。
カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーマップとは、カスタマージャーニーつまり”顧客の旅”の一連の内容を認識分析するための情報を図示したものです。つまりユーザーが商品やサービス購入に至るまでの具体的行動や主観的感情などを時系列順に並べるわけです。カスタマージャーニーが生まれた背景には、言うまでもなくインターネットの普及とマーケティング手法の変化にあります。ユーザーはどこで商品を購入するのか、情報収集はどのようなフィールドで実践するか、商品情報を認知した機会はどこにあるのか、など一連の行動は情報技術の革新により劇的に変化しました。伝統的な広告媒体では、認知から購買行動までの一連の行動は、単純で訴求するべき対象も手段も明確で曖昧さは低く抑制されていました。しかし従来の宣伝手法ではきめ細かいユーザーの行動や内面の変化を踏まえた、対応策を検討するのは不向きです。そのようなマーケティング環境がめまぐるしく変化したため、認知から購入までのユーザーの振る舞いや感情の変化などを詳細に整理分析し、ユーザーの各行動に対して最適なアプローチを模索する方法論が開発されることになりました。ここにカスタマージャーニーが考案された素地があります。
カスタマージャーニーの基本的内容は、ペルソナ・時系列・ユーザーの振る舞いの三点に集約することができます。これは基本要素ともいうべきパラメーターで商品やサービスにより細部では異なる内容を付加することも可能です。カスタマージャーニーの作り方はおおむね、ペルソナを作る・縦軸を作る(ユーザーのその時々の行動や感情を把握する)・横軸(ユーザーの行動を時系列にそって整理する)を設定したのち各項目の内容を記述し、ステージごとの課題を把握するという流れに整理することができます。各手順ごとに具体的に見ていきたいと思います。
カスタマージャーニーは、商品やサービスを認知してから購入するに至るまでの一連の経緯を前提にしているので、主人公にあたる”ペルソナ”を設定することが必須です。自社商品やサービスを開発するには当然関心をもち、購買してくれるであろうターゲットを想定しています。ペルソナは多アーゲットよりはさらに具体的な顧客像を前提にしており、いわばあたかも実在するかのような人物像を意味します。ターゲットよりも詳細で具体的な顧客像を作り上げることで、よりユーザーのニーズを性格に認識し正しく理解することが可能になります。ここにペルソナを設定する意義があるわけです。
ペルソナでは年齢や性格は当然、居住エリアや年収家族構成や具体的職業なども詳細に盛り込んで生きます。現実にありえるペルソナを想定することで、カスタムマーケティングジャーニーも正確で分析する価値のある仕上りになります。
”縦軸”を設定する方法
次にカスタマージャーニーマップ作成のための、”縦軸”を設定する方法を検討していきます。カスタマージャーニーマップにおける縦軸の内容は、ユーザーの思考や行動などを記述していくことが基本です。ユーザーは関心のある商品やサービスに対して何らかの接触をもったときに、購入するまでには色々なシチュエーションに直面し色々な決断を迫られることになります。購買活動は内面的な心境の変化につきるわけではなく、購入決断にむけて段階を踏んで、様々な活動にでるわけです。
モノを認知し、購買対象を認識し売買契約を締結して商品やサービスを購入するという一連の行動は極めて単純で明快であるように思うかもしれません。最終的には購入して対価を支払うという結論に到達するにしても、ユーザーは想定以上に数多くのステージを踏み、多面的な感情を心にもつことになります。これらの細部に至るまでの個々の行動や、そのときどきの感情の変化をつぶさに把握することではじめてカスタマージャーニーのメリットを活用することが出来ます。
行動・タッチポイント・思考や感情・課題の4点が基本項目
このような商品やサービス購入にいたるまでの、行動を踏まえカスタマージャーニーマップの縦軸では、ユーザーの思考や行動を把握し分析するに足りる項目が設けられている必要があります。具体的には、行動・タッチポイント・思考や感情・課題の4点が基本項目です。
行動
行動とは、ユーザーが実際に実践する活動のことを指しています。たとえばインターネット検索をして当該商品の情報を調べたり、気になったのでリアル店舗に赴いて商品を確認するなどの内容です。
タッチポイント
タッチポイントとは商品やサービスを知るに及んだ端緒となるべきメディアや方法を意味します。たとえばインスタグラムでのインフルエンサーの画像投稿を参照するなら、タッチポイントはSNSといことになります。もちろんウインドーショッピングで商品を見かける、などの古典的行動も含みます。
思考・感情
思考・感情とは商品やサービスに何らかの形で接触したときに心に浮かんだ感想や感情です。たとえば「この服を目にしたらかわいくて気になった」などの内容になります。
課題
課題とはその時々の行動の結果、問題点や消極的要素がめについたときの内容のことです。たとえば、「ショップに在庫はあるけれど、自分にあったサイズのものがない」、「SNSを参照したところ価格についての情報が不足していてわかりにくい」などの内容がはいることになるわけです。
【STEP2】横軸(ステージ)を設定する
カスタマージャーニーマップの縦軸では、ユーザーが対象商品やサービスを認知し最終的に購入にいたるまでの行動とその時々のシチュエーションでの感想や感情などを把握することが主な内容でした。縦軸により商品購入に至るまでの、感情変化といった内面の変遷を正確にたどることが出来ます。いわば商品やサービス購入にいたるまでの内面をミクロのしてんで、つぶさに把握分析することに主眼が置かれて居たということができるわけです。人間の行動は内面での決断に基づいて、具体的に何らかのアクション(行動)にでるという経過をたどります。マーケティング戦略にあっては、ターゲットの情報に基づいてペルソナを設定していますが、個々のユーザーが商品を購入するまでの体験は多彩です。カスタマージャーニーマップの縦軸の内容を把握することは、より具体的でリアルなユーザーの姿を把握するには有益ですが、より導体的にユーザーの姿に迫るという点では、有用性は低いといえる側面があります。ダイナミックにユーザーの購入にいたるまでの行動をつかむには、客観的行動の段階に応じて、情報を収集し分析するというアプローチが必須になります。
カスタマージャーニーマップの、”横軸”を設定
ここにカスタマージャーニーマップの、”横軸”を設定する必要性があるわけです。つまりカスタマージャーニーマップにおける横軸では、ユーザーが諸品やサービス購入にいたるまでの各プロセスの行動を記述したものです。
ここでは、インフルエンサーのSNSを見ていたら自分も興味を引かれるファッションを見つけたというペルソナを前提に、マーケティングリサーチマップにおける横軸を検討してみます。マーケティングリサーチマップにおける横軸のフェーズの設定については、一般的に認知・興味関心・体験購入・購入後の4つに分けるアプローチが採用されています。
認知・興味関心・体験購入・購入後
認知
認知とユーザーが商品やサービスの存在を認識したフェイズを意味します。ユーザーにとってはどれほど魅力的な商品であっても、存在を認識しないことには購買対象に入ってくることはありません。ユーザーが顧客になってもらうには、短所が必須になります。従来の広告手法ではメディアの掲載広告や街角の随所に設置されている各種の看板、さらに古典的に新聞チラシなどを指摘することができます。あるいはテレビなどの巨大メディアも、企業規模が大きいなら選択可能な広告方法です。出稿価格には違いがあっても、選択肢は比較的限定されていました。その意味であらためて、新商品やサービスの認知経路はそれほど大きな意味は持っていなかったともいえます。しかるに現在ではインターネット上には情報技術革新もあいまって、実に多彩な広告手法が開発活用されています。どれほどニッチな趣味や、限定された市場しか期待できない商品やサービスでも、インターネット上の広告手法を最適化することで効果的な宣伝も可能になっています。ここにカスタマージャーニーマップの横軸では端緒になる、認知する経路の内容は大きな意味をもつわけです。たとえば人気のインフルエンサーの新規投稿を確認していたら、自分も興味を引かれるファッションアイテムが紹介されていたというものです。くだんのユーザーは自分と趣味や関心のフィールドが合致していることから、紹介するアイテムにも関心が既に高い状況にあります。他のメディアで取り上げられていても、関心はひかれなかったものの、ファンになっているインフルエンサーの紹介が重要な契機になって最終的な商品購入に至るまでの行動の後押しになっていることは十分ありえます。インフルエンサーは時には有名人と重なることがありますが、中小規模のフォロワーを保有している中堅インフルエンサーの場合、きわめて限定されたジャンルでは、高い注目を集めていることがあります。場合によっては、マスメディアで起用される芸能人には、知名度でははるかに及ばないレベルの場合でも、売り出したい自社商品やサービスにとっては、知名度の点では一般人レベルでも想定するペルソナやターゲットにリーチできる可能性に着目すれば、中小インフルエンサーのほうが起用するメリットが大きいことがあります。この点でも、認知の端緒になるのはどこなのか、を把握しておくことの重要性は明らかです。
興味関心
商品やサービスの存在を認識して次の段階が、興味関心のフィールドになります。具体的には関心を持った商品やサービスについての情報収集に取り組む段階です。例えばインターネットで商品について調べたところ、類似した商品はいくつかあることが判明したが、ファンとなっているインフルエンサーが紹介しているメーカーの商品はウエブサイトのほか特定の店舗でも販売されていることが分かった、というような内容です。より商品についての理解を深めるために、製造している会社のウエブサイトを訪問するといった振る舞いも含まれます。これでユーザーにとっては、基本的に必要な情報を手にすることができます。
体験購入
体験購入の段階では、最終的に商品やサービスを購入するまでの段階を対象にしています。ファッションであればインターネット経由で通信販売を利用することも可能です。ただ身につけるものだけに、情報を確保しただけで試着などもすることなく購買活動にでることには躊躇いを覚える層も一定数存在しています。体験購入の段階では、たとえばインターネットで情報を仕入れてから、リアル店舗に足を運んで実物を手にとり、試着するなどの振る舞いも含んで把握します。リアル店舗では多少は価格が高かったものの、一刻も早く入手したかったため購入を決断するなどの結論になるかもしれません。あるいは価格重視でインターネット購入にこだわったなどの判断もありえます。体験購入のフェーズには、購入に至るまでの詳細な行動を把握することに意義があるわけです。
購入後
マーケティングリサーチマップ横軸、最後のフェーズは購入後になります。購入後とは実際に購入してからのユーザーの感想や課題などを指摘する項目です。たとえば、店舗に足を運んだところ、店員の知識がなく、サイズもそろっていなかった、実際に着用してみての所感などを意味します。
【STEP3】行動、タッチポイントを設定する
カスタマージャーニーマップの作成にあって、タッチポイントはユーザーの行動と感情をひもづけるうえで結節点になりえる要素です。現在におけるインターネット空間の普及においては、誰しも情報発信の主体になることを可能にしています。上部マーケティングにおいても、各企業が運営するウエブサイトなどのオウンドメディアはかねてより重視されてきました。スマートフォンが爆発的に普及するより先に、各企業のウエブサイト運営は、インターネットを通じた自社商品やサービスの宣伝において大きな寄与を果たしてきたのは確かです。ただしこの状況ではユーザーは、あくまで広告宣伝をうける客体で認識されていたのは重要といえます。広告媒体とユーザーとの間には明確な線引きがされており、ユーザーが主体的に情報発信する存在として認識されていないという点では、古典的な広告手法と変わるところはなかったというわけです。往時では個人が運営するブログなどが人気を集めていました。現在でも多くのフォロワーを獲得しているブログでは、数多くの読者をゆうしており、ブログ上での発言がしばしば注目を集めます。とはいえ人気ブロガーといえども、影響力が波及するのは、それぞれのジャンルでの限定されたもので瞬時に注目を集める程度で、ブームがされば忘れ去られるという状況に変化はありませんでした。一部の熱狂的なフォロワーやニッチな分野で、限られた層から恒常的に注目を集める程度だったわけです。
SNSの登場と爆発的な普及
このようなインターネットにおける、送り手と受け手の分断状況に革新的変化をもたらしたのが、各種SNSの登場と爆発的な普及にあります。もちろん情報技術革新の飛躍的発展や、それと平仄を合わせて普及するスマートフォンという存在が原動力になったのは確かです。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、インターネット空間上でそれぞれのアカウントが、テキストだけでなく画像や動画などを投稿して誰もが情報発信することができるのが特徴です。誰でも情報発信の主体、つまり送り手になれる、というのが重要で従来の情報発信のあり方を根底からくつがえすことになりました。従来からのように自分にとって有益な情報の受け手として、検索機能を駆使することでより短時間でタイムリーに必要な情報にアクセスすることが可能になりました。情報をうけとるだけでなく、改めて自分から感想を投稿したり、画像を添付してよりダイナミックに使用しての感想をインターネット空間で膨大な数のユーザーを対象に後悔することも可能にしています。つまり消費者としての立場だけでユーザーを捕らえることは限界を迎えており、情報発信する存在でも着目する価値があることを示しています。このようにユーザーはもはや多面的な存在で、広告を訴求するだけの対象と見るだけでなくフィードバックするべき情報の宝庫、あるいは独特の瞬間的な爆発力を発揮する情報伝達経路のポテンシャルも無視できない規模に成長していると見るのが妥当です。
カスタマージャーニーマップの作成にあたっても、ユーザーの行動の経緯を対象にする横軸の分析にあっても、ユーザーの個人的内面の推移を把握する縦軸の分析にあたっても、両者の情報を有機的につなぎ合わせる結節点として大きな意味をもつわけです。したがってマーケティングジャーニーマップにあっても、SNSをかぎにして行動・タッチポイントを設定することは重要です。タッチポイントとは、顧客が行動する際に使用する媒体のことです。具体的には各社のウエブサイトのほか、ブログやSNSのことになります。
フェイスブック・ツイッター・インスタグラム
もっともSNSが登場してからも各社がサービスの提供を開始したため、それぞれのSNSにおいて際立った特徴や違いが見られます。フェイスブックは匿名性が高いインターネット空間にあって、あえて実名登録を必須として、マーケティングでも活用する向きもあります。なんらかの社会的関係性をもつことを前提にしていることが多く、多数のユーザーを想定する場面ではあまり活用の余地はないかもしれません。ユーザーの数や年齢層の広さであいえば、ツイッターやインスタグラムなどはウエブマーケティングでも活用の余地が大きいかもしれません。ツイッターは短文での呟きを主体にしたテキスト投稿などが忠臣ですが、最近では短時間の動画投稿なども増加しています。視覚的に主張したいときでも活用する余地はいぜんよりはひろがっているかもしれません。
インスタグラムは画像中心のSNSで、比較的若い年齢の女性がユーザーのメインを占めます。テキストはあくまで画像の添え物であったり、説明のために負荷されるにすぎず、あくまで画像メインです。タイムラインを参照すれば、インスタグラマーが投稿した画像をリアルタイムに確認することが叶います。しばしば莫大な数のフォロワーを抱えるインスタグラマーの日常の何気ない投稿も、大きな注目を集めることも珍しくありません。影響力の大きさや情報拡散する瞬発力の高さは、今日では無視できない存在になっています。
カスタマージャーニーマップでタッチポイントを設定するときも、どのSNS経由なのかを明らかに峻別することは有益です。具体的にはユーザーが認知から商品購入するまでの行動を記述する横軸の設定にあたっては、各段階でSNSをはじめとしたタッチポイントを、設定しておきます。例えば認知段階では、どこから情報を入手したのか、情報収集や比較検討するときにはどこを参照したのかなどを分かりやすく明白にしておくことをお勧めします。情報収集の段階では多彩な経路が想定され、自社のウエブサイトのほか、他のブランドや口コミ、インターネット検索やSNSの投稿など流入経路は多彩を極めます。体験購入の段階では、大別すればインターネット販売かリアル店舗であるのか、などが解明の中心となります。現在にあっても自分で手にとってみたり、試着することで初めて購入決断に至ることも珍しくないからです。
重要なのは具体的ペルソナを想定して、適切なタッチポイントを設定することにあります。SNSでもペルソナにより利用するサービスは異なるからです。
【STEP4】思考、感情を設定する
カスタマージャーニーマップの縦軸と横軸を設定したら、想定しているペルソナが各フェーズでどのような行動にでているか、いかなる感想や感情変化したのか内面の変遷などを記述して埋めていくことになります。まず着手するのは、ユーザーの具体的な行動を把握すること、つまり横軸の内容を記述することです。例えばサステナブルファッションのブランド企業の商品購入過程をサンプルケースに検討してみましょう。サステナブルブランドは、地球環境保護に意識や関心が高いユーザーを対象にしているので、メジャーブランドでは必ずしも採用されていないことがあります。サステナブル素材は再利用を前提にしていたり、安価な石油由来の原材料などは採用しておらずしばしばコストが高額で、商品代金にも付加されているのが一般的です。安価で大量生産な商品をお求め安い価格で販売するという、従来のマーケティング手法では必ずしもターゲットにリーチできない可能性があります。多額の宣伝広告費用を投入することは、採算面でも採用するのが難しい側面もあるでしょう。
他方でサステナブルな商品を好んで購入するユーザーのペルソナは、相応の収入があり多少は高い価格でも自分の価値観に合致していれば、一般ユーザーでは高額の評価を受けるような価格設定でも許容して購入判断に傾くことは十分考えられます。その意味でどの経路で、認知されるに至ったかの詳細を把握することは重要です。例えばインスタグラムのタイムラインで自分好みのバッグを発見、製造元はサステナブルメーカーであることも判明。多少価格は高くはあるものの、デザインがクールでサステナブル素材数量限定で、レア感が高く環境にも配慮しているのに好感をもてた、という具合です。
興味関心のフェーズ
気に入ったアイテムの商品の情報に接触できたので、ユーザーは次の段階である「興味関心」のフェーズに移行します。つまり認知した情報を元にユーザーが商品やサービスについて情報収集をするというアクションに出るわけです。具体的には製造元ユーザーのウエブサイトを訪問し、商品や素材のこだわり、デザインのコンセプトや過去のアイテムのラインナップなどを参照するという振る舞いが想定されます。本当に数量限定ものなのか、どこかの企業や団体とのタイアップ商品なのか、さらにアイテムについての詳細を深めるインフォメーションの探索も含まれます。類似したジャンルを取り扱っている他ブランドのウエブサイトを訪問して、くだんのアイテムのほかの商品にはないメリットや優位性などについても調べるかもしれません。関連情報についての理解を深めることで、より関心がひかれることもあるでしょう。インターネットでの情報には常に真実の裏づけがあるのか、主体的に真偽の確認に努める必要性が高いといえます。製造元サイトのウエブページを見ただけでは、他ブランドのアイテムとの相対的評価や客観的認識などのソースを確保するのは困難です。その意味では、類似したジャンルの商品やサービスを多数紹介しているポータルサイトでの口コミを参照したり、個人のブログを渉猟することも興味関心の段階でのアクションに含まれるといえます。
参照事例でいえば、ここまでの段階でサステナブル商品であるバッグについての、情報収集を深め、類似他ブランドとの比較対照の結果や、実際に購入したユーザーの口コミや個人のブログなど多面的な情報源から購入することに決定しています。つまりあとは購入をまつだけの段階です。
体験購入のフェーズ
そこで次のフェーズが、体験購入になります。つまりこの段階では実際に商品を購入することになった経緯が記述される対象です。デザイン面では他ブランドのアイテムも気になったので調べてみること、あるいはインターネットだけでなくリアル店舗でも販売されていることが判明したので、実際に自分の目で観察してみて実感を確認するなど五感を駆使しての体験フェーズです。多少価格は高い点はあっても満足、しかしやや個性が強く他のアイテムとのコーディネートに難しさを抱えているとの感想を抱くなども体験購入のフェーズに含まれます。
カスタマージャーニーマップはユーザーが商品やサービスを購入するだけで完結するわけではありません。購入後のフェーズで、ユーザーはどのような感情面での変化を実感したのかまでをも視野にいれて把握することが大きな意味を持ちます。今回の購入体験で大きな満足度を実感しているユーザーであれば、自社にとってのファンになってくれることから次回以降のクライアントになってくれる蓋然性が高くなるからです。もちろん逆の場合もありえるでしょう。実際に購入してみたところ、意想外の印象をもったり、期待はずれに終わってしまって次回の購入意欲につなげないかもしれません。
プラス面で積極的感情を抱いてもらえれば理想的ですが、次回の自社商品開発やサービスの品質向上に活用する上でも購入後のユーザーの心の変化についての情報にも敏感になっておくことには意義があります。例えば周りの人にも格好いいと評価してもらえて、自分としても購入して満足、他の商品についても検討を購入したい、という感想を持ってもらえるのが理想です。逆に思ったものとは違った、内容にみあった価格設定でもなかった、などの消極的評価が寄せ去られれば、関係部署にフィードバックし、どこに原因があるのか・改善点の模索のためにも積極的に活用する姿勢が求められます。もっとも感情を言語化するのは難しいというユーザーも少なくないので、感情を整理するときには多少は抽象的な表現でも許容するべきです。情報整理のためにポジティブとネガティブに分類するなどすれば課題と改善方法も発見しやすくなるかもしれません。
感情の動きを幅広く共有するうえでは、テキストだけに拘泥することなく絵文字を活用したり、感情の起伏をグラフ化するなど視覚的に認識しやすいこを意識するのも有効です。思考を記述するときには、ひとり単独で作業するだけでなく複数人で意見を出し合いながら進捗させるのが理想といえます。同じ文言でも解釈には幅が出る余地があり、多面的に分析することでより実態に近くなるからです。
【STEP5】ステージごとに課題を分析する
カスタマージャーニーマップの横軸と縦軸のフェーズを設定し、タッチポイントを下に情報伝達経路を分析しユーザーの内面まで把握分析すれば一応の完成を見たといえます。カスタマージャーニーマップは完成すること、それだけでもマーケティング戦略の上では有益な示唆を与えてくれるからです。しかしマップの作成そのものが、目的ではないことに留意してください。自社の商品やサービスを購入するまでの、ユーザーの各段階での行動や振る舞いを把握分析し、その時々の内面の変化を認識できれば、今後のマーケティング戦略のブラッシュアップに活用できるからです。これまでのカスタマージャーニーマップでのマッピング作業を通じて、ペルソナの行動の顛末や抱いている感情、それぞれの決断に至った思考などを元に対応策を検討します。これまでの情報把握と分析をしただけの段階では、具体的名対策に結びつかないかもしれません。対策につながらなくても、現在自社スタッフが抱えている課題をあぶりだすだけでも意味はあります。また対応策の内容について実現性を考慮にいれるまでもなく、忌憚のない意見を表明することでも構いません。ドラスティックな内容では予算が降りない公算が高いと予想されても、ひとまず実現性という観点はあとで検討すればよいだけです。具体的には認知・情報収集・体験購入・購入後の各フェーズで、ユーザーの声を通じて各段階で明らかになるはずです。例えばユーザーがフォローしているインフルエンサーに自社商品が知られていない、SNSの画像がユーザーが実際に袖をとおすことを前提にしていない、などの課題はユーザーから敬遠される要因になっていることを示唆します。情報収集のフィールドでは、価格面での不満はよく見受けられます。あまりに価格のことを全面に持ち出されるのを避けるために、肝心の価格帯などの情報が記載されていない、あるいはブランド名のハッシュタグがないためユーザーが価格を容易に検索できないなどです。インフルエンサーの影響は大きく、時にはユーザーに瞬時に「購入したい」との感興をよびおこすことも十分ありえます。価格がいくらなのかは、ユーザーが商品購入時に最優先に把握したい情報のひとつです。価格面での安さを売りにしていない場合でも、同様です。
体験児乳のフェーズでは、リアル店舗への訪問というモメントは、インターネット通販が普及した今日にあっても重要です。特にファッションアイテムは自分の目で柄や色合い、肌触りなどは実際にてにとったり試着してはじめて明らかになる要素です。インターネット通販メインの生活でも、ファッションアイテムは別というニーズも少なくありません。リアル店舗での顧客の体験は、しばしば色々な問題点を浮き彫りにします。例えばそもそも自分の御嶽にあったサイズをおいていない、あるいは店員の商品知識が貧困でうまく案内できないなどという声が典型的です。
ユーザーの感情がネガティブにむいている部分に注目する
課題を分析するときには、とりわけユーザーの感情がネガティブにむいている部分に注目するのが有益です。ポジティブな面をのばすよりも、ネガティブな点を改善するほうが容易で顧客満足度アップにも反映されやすいからです。もっともあぶりだされる課題は一つとは限りません。自社の企業文化や旧来の手法を漫然と採用していることによる、弊害などが社員同士では意識されないまま現在でも残滓が存在しているということもあります。同じステージであっても、角度を変えれば色々な対応策が想定されます。様々な角度から色々な見解がだされることを念頭において、分析を進めてください。どの課題を解決すれば、最初に設定したゴールに近づくのかを意識しながら、優先順位を決めて取捨選択しながら解決策の実施に尽力することをおすすめします。
ここからはカスタマージャーニーマップを作成するときに、抑えておきたい3つの注意点を御紹介しておきたいと思います。その三つの注意点とは、他部署と連携する・顧客目線で作る・いちど作成してからもブラッシュアップを欠かさない、という内容に集約することができます。
まず他部署との連携ですが、これはカスタマージャーニーマップ作成全般に妥当する複数人で作成するという点に通呈するものです。複数人で意見を出し合いながら作ることで、情報の抜けモレや独善かを防止することにつながり、重要なトピックの検討を忘れてしまうような弊害を防ぐことができるからです。カスタマージャーニーマップはマーケティング部署で作成することが多いはずです。それはそのはずで今後のマーケティング戦略の立案と、これまでのマーケティングの費用対効果を分析するというのはまさに、マーケティングジャーニーマップの作成に通じるものがあるからです。このようなマーケティングジャーニーマップの特性を前提にしながらも、マーケティング部署単独で全て作成するというのは考え物です。マーケティング部署内で完結させるのではなく、営業や開発などのほかの部署のスタッフも可能な限り関与を依頼してください。日ごろからユーザーと接点のある営業や、問い合わせや苦情処理などのカスタマーサポート、さらに販売などの部署と連携するのはおすすめです。
担当者の理想を反映されがち
顧客目線で作るというのは、えてしてカスタマージャーニーマップ作成にあっては担当者の理想を反映されがちという弊害を意識してのものです。「こうなってくれるのが理想」という担当者の希望を優先しては本末転倒いがいのなにものでもありません。作業を進捗させるときは常に顧客目線を重視し、リアリティを意識することです。
ところでカスタマージャーニーマップは、ひとたび作り終えた後でも必要におうじてその都度終生する必要があります。実際のユーザー行動とマップ上での想定行動との間に乖離があるのは、問題が発生していることを強く示唆しているからです。マップの内容がリアリティに近接しているほど、具体的対応策が事態にそったものになることを期待できます。購買行動の多様化、顧客ニーズの変化のスピードは加速しています。そのような現実を前にすれば、マーケティングジャーニーマップの見直しは定期的に行うべきといえます。
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